すっと伸びた茎の先に、真っ赤な放射状の花びらを開く彼岸花(ひがんばな)。秋の七草の萩(はぎ)は、紫の小粒の花が愛らしい。訪ねた佐賀市金立にある徐福長寿館の植物園は、すっかり秋の装いだった。きのうから彼岸に入り、もうすぐ秋分である◆お彼岸は日本で始まったとされ、人の生の終局、悟りの彼岸(浄土)へ至るという願いが源にある。仏教法要としての彼岸会は、江戸期には庶民にも広まり、今につながる寺参り、墓参りをともなう年中行事になった◆かつての、人は家墓に葬られることが当然の時代から、今やそのありようは多様化した。でも人々の墓への関心は強い。以前、先祖代々の墓を終(しま)い、寺に管理や供養を託す「永代供養墓」の佐賀県内への広がりを記事にしたことがある◆跡継ぎがいない人、いても「墓の面倒までかけたくない」という人など、選んだ理由はさまざま。しかし一様に発せられた言葉は「これで気持ちが落ち着いた」だった。16年前のことだが、当時の記事への反響は大きく、住まい近くの永代墓を問い合わせる電話が相次いだ◆今も「安住の地」をどこにするかは、最も気がかりなことの一つだろう。どういう形にせよ大切にしたいのは先祖を敬う心、亡き人をしのび供養する気持ちである。この時期は墓参りとともに、終い方にも思いをはせる良い機会となろう。(章)

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