観察のため超小型チップを付けたミツバチ(Amro Zayed氏、カナダ・ヨーク大提供)

 ミツバチの大量死との関連が指摘される「ネオニコチノイド系」と呼ばれる農薬を、農場周辺で検出されたのと同程度の低い濃度でミツバチに与えると、寿命が2割ほど短くなったり女王蜂の数が減ったりしたとの実験結果を、カナダのチームが30日付米科学誌サイエンスに発表した。

 ネオニコチノイド系農薬は日本を含む世界各地の農地で広く使われている。現実に近い条件の実験で、農作物の受粉を担うミツバチに深刻な影響が確認されたことで、使用規制を求める声が強まりそうだ。

 チームは、ネオニコチノイド系農薬の一種クロチアニジンを含む人工花粉を与えたハチと、与えていないハチを同じ環境に移し、観察した。

 取り付けた超小型チップのデータを解析すると、クロチアニジンを与えていないハチは平均で20日余り生存が確認されたのに対し、与えた場合はそれより23%短い期間にとどまり、寿命短縮をもたらすことが示された。3カ月後の群れの比較では、農薬を与えなかった場合は女王蜂がいる割合が50%程度だったが、与えた場合は10%未満にまで減っていた。

 農薬の影響を示す実験結果は過去にもあったが、与えた濃度が高過ぎるとの批判が出ていた。チームはカナダで複数のトウモロコシ畑周辺を詳しく調べ、現実にハチが取り込むと想定される低い濃度にして投与した。

 さらに、ネオニコチノイド系農薬単体よりも、農家がよく使う抗菌剤と混ぜて与えた方が、ハチの致死率が高くなることが別の実験で判明。農場周辺の環境はリスクが高いことがうかがえた。

 欧州連合(EU)はネオニコチノイド系農薬の一部の使用を当面禁じ、米国でも一部の自然保護区で禁止した。日本ではコメや野菜の栽培に使われ、拡大傾向にある。【共同】

 ■ネオニコチノイド系農薬 害虫駆除剤の一種。タバコのニコチンに似た物質が主成分で、神経の働きを阻害して昆虫を殺す。1990年代半ばから導入され、主に種にコーティングして使われる。水に溶けやすく、土壌に長く残留するものもある。世界で相次ぐミツバチの大量死との関連が指摘されており、欧州連合(EU)の欧州委員会は2013年、クロチアニジンを含む3種類を当面使用禁止にした。

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