支援者に手を振りながら街宣に出発する選挙カー=東松浦郡玄海町(写真の一部を画像加工しています)

 8年ぶりに選挙戦となった東松浦郡玄海町議選は、定数10を11人で争う少数激戦となっている。九州電力玄海原発が年明けの再稼働へ向け準備が進む中、原発の是非を主張する候補者は少なく、論戦は低調気味。産業振興や人口減対策などの政策も具体性に乏しく、町民からは「何を基準に選べばいいのか分からない」という声も漏れている。

 「原発に不安を抱える人の代弁者になる決意をした」。新人候補の一人は告示された19日、出発式で支援者約20人を前に宣言した。ただ「再稼働するのは間違いない状況。すぐにゼロとは言えない」とも語り、まずは原発依存度の低減を訴えるという。

 反原発を掲げてきたベテランの共産党議員が今回引退し、候補者の中で反原発を主張するのはこの新人1人。ある現職候補は原発に触れるつもりはないと明言し、「3、4号機とも再稼働のめどが立ち、議論は一段落している。他の候補者も触れないのでは」。推進側から取り上げることはなく、争点にはならないと指摘する。

 20日始まった期日前投票。町役場に訪れた60代女性は「原発にどう向き合うのか知りたいけど、再稼働が決まってるから話題にならないのも仕方ない」と嘆息した。社会教育充実や産業振興に取り組むといった公約は一部で、選挙カーからは、「皆さま方の支援をお願いします」との声が繰り返される。女性は「町を若者が働ける場所にしてくれそうな人を選びたいが、具体的なことを言ってくれないから投票する基準がない」とこぼした。

 町は各候補者の公約や主張を載せた選挙公報の配布を急ぐが、各世帯に行き渡るのは投票日2日前となる22日の予定。それまでは候補者の訴えやポスターなどで判断するしかない。

 夏休みで帰省中の女子大学生(18)は、期日前投票で初の1票を投じた。「候補者の主張に触れる機会があまりなく、同じ地区で人柄がよさそうな人を選んだ」。会員制交流サイト(SNS)を使う候補者は11人のうち1人。若者へのアピールにも課題が残る。

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