「キリン」(2016年、33×22㌢、紙にペン、インク、作家蔵?IKEDA Manabu Courttesy Mizuma Art Gallery)

■利き腕けがし、左手で描写

 空想した異空間を画面に織り交ぜて構成する画風の池田学さんだが、動物図鑑のような写実作品もある。2005年から現在に至るまで東京動物園協会発行の会誌「どうぶつと動物園」の挿画を手掛け、動物園から提供された写真を元に動物を精緻に描いている。

 池田さんは「写真を真似て描くだけなので、普段の作品より数倍も楽。考えなくて済むので気分転換になる」という。そんな池田さんだったが昨年1月、スキーで利き腕の右手をけがしてしまう。手先が数カ月動かず、思い余って左手で絵を描いた。最初に左でさっと描いた絵は、米国のチェイゼン美術館のボランティアにプレゼントしている。

 しばらくして左手で本格的に描き始めた作品が「キリン」だ。プレゼントした絵は線が微妙に揺らいでいたが、この作品はシャープな線。右手で描いた作品と遜色ない。池田さんは左手による表現の面白さを発見し、同美術館で滞在制作していた大作「誕生」の画面左上を左手で果敢に描いた。

 ■池田学展は県立美術館で3月20日まで(月曜休館)。一般1200円、高校生以下は無料。

このエントリーをはてなブックマークに追加