フタツトゲテッポウエビとみられるエビ(小宮春平さん提供)

発見されたヒメモクズガニ

フタツトゲテッポウエビとヒメモクズガニを発見した小宮春平さん=福岡県柳川市のやながわ有明海水族館

■フタツトゲテッポウエビとヒメモクズガニ

 絶滅の危機が極めて高い生物として環境省のレッドリストの絶滅危惧種に指定され、10年以上見つかっていない有明海の「フタツトゲテッポウエビ」と「ヒメモクズガニ」が、佐賀県西部の干潟に生息していることが確認された。発見したのは福岡県柳川市の水族館で館長を務める小宮春平さん(19)=久留米市。有明海の環境異変が長年の問題となる中、豊かな生物多様性が改めて示された。

 福岡県レッドデータブックによると、フタツトゲテッポウエビは甲長1・5センチで有明海湾奥部に唯一生息するとされ、採集例は極めて少ない。ヒメモクズガニは甲幅2・5センチで筑後川で見つかっていたが、2004年以降は記録がなかった。どちらも干潟の同じ巣穴から現れていたことから、共生関係にある可能性が指摘されていた。

 小宮さんは高校生の時から有明海の干潟で生物の採集を続けている。8月中旬、鹿島市の有明海沿岸に仕掛けた網にヒメモクズガニとみられるカニがいたことから、干潮時に干潟を調査した。海水が流れていて石や砂を含む泥がある所で計12匹を採集した。付近からフタツトゲテッポウエビとみられるエビも計11匹が見つかった。

 「絶滅したとも言われていたので、ちゃんと生きていてくれてうれしかった。生息環境の条件も厳しく、局地的にすんでいることも分かった」と小宮さん。有明海の生物に詳しい熊本大学の逸見泰久教授(海洋生態学)に採集した生物を送り、フタツトゲテッポウエビとヒメモクズガニであることを確認した。

 逸見教授は01年に筑後川で両方を同時に確認しており、「貴重な発見で、従来の干潟の環境が残っていたのだろう。特に同時に見つかったのは共生関係を裏付ける上で重要な記録になる」と語る。小宮さんは「有明海だけにしか生息していない生物は多い。発見を続けていくことで素晴らしい環境が見直され、生き物たちを守っていくことができれば」と話す。

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