高速道路の結節点になっている鳥栖ジャンクション。約1㌔西側(左)に鳥栖インターチェンジを併設している

 鳥栖市と基山町、福岡県小郡市が7月末、内閣府の国家戦略特区の本年度募集に共同提案した。高速道路の鳥栖ジャンクションの優位性を生かすため、周辺の農地開発の規制緩和を提案している。当該エリアのみならず九州の振興も期待でき、国にはぜひ特区指定をするよう求めたい。

 特区は当初、鳥栖市が単独提案したが、のちに現在の県境を越えた3市町の共同提案に発展。昨年12月の指定は逃したが、民間議員の提案で「必要に応じ次回の指定につなげていくべき」と報告書に書き込まれた経緯がある。

 提案の柱は鳥栖ジャンクションを中心に、半径4キロ圏内の農地に限って農振除外や農地の転用許可などの規制を緩和してほしいというものだ。農地を開発するには農業関連規制や都市計画関連規制があり、なかなかスピード感のある開発許可が下りないためだ。

 鳥栖ジャンクションは大きな特異性を持っている。ジャンクションは全国に200カ所以上あるが、3大都市圏や県庁所在地・政令指定都市を除けば60強しかない。さらに、ジャンクションのそば(おおむね1キロ以内)にインターチェンジがあるのは17カ所しかなく、経済効果が最も高いと見込まれる東西南北の4方向につながる「十字」に展開しているのは鳥栖ジャンクションのみである。

 鳥栖市はこれまでも県などと組んで工業団地を造り、企業を誘致し、人口を増やしてまちを発展させてきた。企業が希望するジャンクションから5分以内、距離に換算して4キロ以内に工業団地、住宅団地を造るなど投資すれば、地域は活気づき、企業は交通の利便性をフル活用できる。九州、日本経済にも波及効果が見込める。国としても特区をつくるメリットがあると言えるのではないか。

 国が唱える1億総活躍社会につながり、仕事をつくってそこに人が集まってまちが発展するという「まち・ひと・しごと創生法」の考え方にも沿う。鳥栖市は特段、新しいことを提案しているのではない。これまでやってきた工業団地の開発による地域発展を、「特例を認める」という国家戦略特区の考え方にのっとって、さらに推進しようとしているのである。

 もちろん自然を守り、食料を供給する農地を守ることは大切である。だからこそ、開発効果の大きい4キロ圏内だけは規制緩和を認めてほしいというのが提案である。農地は減るが、残った農地の活用で農家の所得がアップするように、開発によって上がる税収の一部を基金に積み立てて農家を支援する計画も盛り込んでいる。

 地域の個性・特性を生かして地方創生を図ろうとする、この特区提案は安倍政権の成長戦略にもつながると考える。(高井誠)

このエントリーをはてなブックマークに追加