個人に投資、参加7万人に

 個人が仮想株式のようなものを発行して手軽に資金調達できる会員制交流サイト「VALU(バリュー)」がブームになっている。5月の試作版公開以来、参加者は7万人に迫る勢い。一方でルールの整備が追いつかずトラブルも発生した。「個人」を投資対象にした斬新なアイデアなだけに規制について議論もあり、目標の年内の正式なサービス開始は不透明だ。

▽ファンクラブ

 少額を不特定多数の人から集める仕組みはプロジェクトへの支援を募る「クラウドファンディング」と似ているが、バリューは人を投資対象にしたのが特徴。小川晃平代表(31)は「自分の価値をトレードできる世界初の発想だ」と語る。

 仮想株式のようなものは「VA」と呼ばれ、発行したい人はバリューに申請。バリューはフェイスブックやツイッターの友人数などからその人の影響力を評価し「時価総額」を算定。一定条件を満たせば発行が許可され、発行するVA数が決まる。決済は仮想通貨「ビットコイン」で行う。価格は需給で変動し、バリューは売買金額の1~10%の手数料を得る。

 発行者は自由に自己紹介し夢や目標を掲げる。本来の想定では、出資者は金もうけが目的でなく、お気に入りの人物を応援するファンクラブの会員のようなイメージだ。

▽いたちごっこ

 だがここにきて投機目的を疑わせる売買やルールの不備をつくトラブルが目立ち始めた。

 8月には動画投稿サイト「ユーチューブ」で人気の投稿者が期待をあおる投稿で価格をつり上げ、自身の保有VAを売却して利益を得た。価格は暴落し、多くの出資者が損失を被った。バリューは、一日に売買できるVA数を制限するなど対策を講じたが、いたちごっこが続く可能性もある。

▽適用法示されず

 背景には、法的位置付けが不明確なことがある。VAは金融商品ではないというのがバリューの立場。だが仮想通貨に換金できるなど金融商品と似た性質があり、サイトが「市場」の性格を有しているのは否めない。実際、時価総額が100億円超の発行者も現れ、取引規模は拡大している。しかし規制面では今のところ、仮想通貨を規制する改正資金決済法や、金融商品取引法の対象になるかどうか判断が示されていない。

 金融庁は8月、「消費者保護と、新しいものを育てることの両方を考える必要がある」(麻生太郎金融担当相)との見解を示し、当面は動向を見守る方針だ。

 金融とITが融合した先進サービス「フィンテック」に詳しい落合孝文弁護士は「発行者の審査強化やルールづくりなど自主的な整備が重要だ。一律の規制は革新的なサービスが出てきにくくなる」と指摘している。【共同】

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