文化庁が16年度国語世論調査

 存続か滅亡かの重大局面を意味する「存亡の機」という慣用句を、本来の表現とは異なる「存亡の危機」と認識している人が8割を超え、「知恵熱」の本来の意味を答えられた人は半数未満にとどまることが21日、文化庁の2016年度国語に関する世論調査で分かった。

 これからの時代に求められる言語能力について「説明したり、発表したりする力」とした割合が02年度調査より3・0ポイント増の20・7%に上ったのに対し、「語句や慣用句などの知識」は1・4ポイント減の1・2%だったことも判明。人工知能(AI)やロボットの開発が進む中、言葉を活用する「人間ならではの力」(文化庁)を重視する流れが強まった。

 調査によると、「存亡の機」とした人は6・6%で、83・0%は「存亡の危機」と回答した。アジアの国々に「おわびの気持ち」を示した戦後50年の村山富市首相談話にも「戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ…」との形で登場するなど、広く浸透していることがうかがえる。

 文化庁は「『存続の危機』などと混同している可能性がある」と分析。その上で「言葉は時代とともに変わる。本来と異なる使い方が一般的なケースもあり、それらを全て誤用と断じることはできない」としている。

 言葉の意味では、「知恵熱」を「乳幼児期に突然起こる発熱」と答えられた割合は45・6%。年代別では20代では15・6%だったが、60代は58・2%、70歳以上で72・9%を占めた。話の「さわり」は53・3%が「最初の部分」とし、本来の「要点」と回答したのは36・1%。「ぞっとしない」で「面白くない」を選べたのは22・8%で、56・1%が「恐ろしくない」と答えた。

 相手とのコミュニケーションを巡る意識も調査。「言葉に表す」「互いに察し合って心を通わせる」のどちらを重視するかを尋ねたところ、選択した割合はそれぞれ50・1%、30・3%だった。

 一方、議論などで意見が食い違った際には「なるべく事を荒立てないで収めたい」が61・7%に上り、「納得がいくまで議論したい」は24・9%になるなど、その場の雰囲気が悪くならないよう「忖度(そんたく)」し、人間関係を優先しようとする傾向も浮かんだ。

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