<左様(さよう)ならが言葉の最後耳に留(と)めて心しづかに吾(われ)を見給(みたま)へ>。大正から昭和にかけて活躍した歌人、松村英一の最後の一首である。時に90歳。死が近いことを悟り、仲間にあいさつのつもりで残した。終末への道のりをしっかり見て、との思いがにじむ◆死に臨む透明な心境はうらやましくもある。人生の幕の閉じ方に関心が高まっている。多くの人が病院や施設で亡くなっている実態とは異なり、住み慣れた自宅で最期を迎えたいと望む人は少なくない◆そんな希望に応えるべく尽力する人たちがいる。医師、看護師、ケアマネジャー、薬剤師…。多職種のチームが最期を迎える患者を支える。今は老老介護でも1人暮らしでも終末期を自宅で送ることはできるという◆医療や介護のできることの中から、患者の状態に合わせてケアのプランを作っていき、変化に対応する。時には、病院での治療や検査を組み合わせる。そんな在宅医療・ケアのイメージを膨らませる手助けになる催しが開かれる◆在宅医療の充実に取り組む市民団体「在宅ネット・さが」が明日午後2時から、佐賀市のメートプラザ佐賀で市民公開講座を開き、在宅みとりの実例を示す。申し込み不要(資料代500円)。最期はこうありたいとの思いを形にすることができれば、心に残すことが少なくなるような気がする。(章)

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