佐賀県内の「義務教育学校」5校が連絡協議会を発足させた。新しい形の学校運営を模索する各校が運営状況や問題点を共有し、学校の実情に応じた学校づくりに生かしていく。当該校だけでなく、教育現場や地域も関心を高めたい。

 義務教育学校は2016年4月施行の改正学校教育法で制度化された。従来の「6・3」制の区切りを「4・3・2」や「4・5」などに変更することができ、9年間を通した一体的な教育を行う。柔軟なカリキュラム編成も可能で、中学校で学ぶ内容を小学校にあたる学年で学ぶこともできる。

 文部科学省によると、義務教育学校は16年度に全国で22校、本年度は26校が設置された。佐賀県では16年度に杵島郡大町町の「大町ひじり学園」、本年度は多久市の「東原庠舎」中央校、東部校、西渓校と、東松浦郡玄海町の「玄海みらい学園」が、小中一貫校から義務教育学校になった。同省は「小中一貫校との違いは、校長が1人になってマネジメントが一本化され、9年間を見通した教育環境づくりに取り組めること」とする。

 佐賀義務教育学校連絡協議会の初会合では、小中一貫校時代の状況を含めてさまざまな報告があった。5校はいずれも「4・3・2」制になり、多久市の各校は「中1ギャップがなくなった」と小中の垣根がなくなったことによる変化を紹介。玄海みらい学園は「中学生がやさしくなり、学校の雰囲気が柔らかくなった」と話した。小中学生が同じ場で学ぶ効用が出てきているようだ。

 ただ、こうした変化は小中一貫校の時から培われたもので、義務教育学校としての本格対応はこれからだ。今後は、小学と中学の授業時間や校則の統一、学校行事や部活動の一体化、小学課程での教科担任制導入など多様な運営が可能になり、何を取り入れるかを探ることになる。大町ひじり学園は小学課程で一部、教科担任制を導入することを考えている。学級担任ではなく教科に精通した先生が授業を受け持つことになる。

 既に行われている取り組みもある。県内各校は中学の先生が小学課程で教える乗り入れ授業や、運動会などの行事の一体化を試行している。ただ、協議会での報告では、運動会一体化だけでも「競技が減り出番が少なくなった」「他県の先行校では中学生の力強さや結束力が弱くなり、一体開催をやめたと聞く」などの問題点が挙がった。乗り入れ授業を円滑に進めるために、小学校と中学校の両方の教員免許を持つ先生の配置を求める声もあった。

 取り組みが新しく多様なだけに、学校だけでは解決できない問題もある。教員異動への配慮など教育行政の支援も必要だろう。部活の一体化など保護者の理解が欠かせないこともある。支援態勢を整えることは欠かせない。

 義務教育学校の認知度はまだ低い。問題点として、人間関係の固定化、学校の大規模化や広域化、最高学年ではなくなる6年生のリーダーシップ育成、転校・転入対応なども指摘されている。保護者や地域もメリット、デメリットを知り、学校が打ち出す運営方針を一緒に考えたい。運営の成果は小中学校に生かせる点もあるだろう。教育現場も関心を持って見守りたい。(小野靖久)

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