政府は1日までに、成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる民法改正案を早ければ来年の通常国会に提出する方針を固めた。成立すれば民法が制定された明治時代以来続く「大人」の定義が変わる。18、19歳でも親の同意なく契約を結べるようになり、若年層の消費者被害の拡大が懸念される。法務省は1日、法案成立から施行までの周知期間などに関する意見公募を始めた。

 法務省によると、成人年齢に関係する規定のある法律は約200本あり、それぞれ個別に議論が進められる。飲酒や喫煙、公営ギャンブル関連の見直しには慎重な意見が多く、20歳が維持される公算が大きい。

 消費者庁は1日までに、会員制交流サイト(SNS)などを活用し、被害防止の啓発事業を拡充する方針を決めた。より有効な対策や救済策も検討するため、同日、内閣府消費者委員会に意見を求めた。消費者委はワーキンググループを設置して議論し、年内にも結論を出す見通し。

 現行の民法では、未成年者が親の同意なく商品の購入や金銭貸借などで不当な契約を結んでしまっても、親が条件なく取り消すことができる。成人年齢の引き下げによって18、19歳が大人と同じ扱いになると、親による取り消しはできなくなり、悪質業者のターゲットにされる恐れがある。

 また現在、女性は16歳、男性は18歳になれば成人していなくても親の同意があれば結婚できる(婚姻適齢)。成人年齢の引き下げに伴い、婚姻適齢は18歳に統一される見通しだ。その場合、16、17歳の女性は親の同意があっても結婚できなくなる。

 民法の成人年齢を巡っては、法制審議会(法相の諮問機関)が2009年10月に「18歳に引き下げるのが適当だが、問題点の解決に資する施策の実現が必要だ」と答申。自民党の特命委員会も昨年9月、できる限り速やかに引き下げるべきだと提言していた。

 選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げた今年6月施行の改正公選法は付則で「少年法と民法について必要な法制上の措置を講じる」と明記している。【共同】

【ズーム】民法の成人年齢引き下げ

 憲法改正手続きを定めた国民投票法(2007年5月成立)は18歳以上に投票権があるとし、付則で民法の成人年齢などの見直しを明記した。これを受け、鳩山邦夫法相(当時)が08年2月、法制審議会に民法改正の是非を諮問。法制審は09年10月に「引き下げが適当」と答申した。若者の大人としての自覚を高め国の活力を生むとの賛成論がある一方、自立をサポートする施策が不十分だとして慎重な意見も出ている。欧米諸国など18歳を成人年齢とする国が大勢。

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