貯水率35%を下回った嘉瀬川ダム。水の引いた一部から、かつての集落跡が姿を現した。奥が佐賀市方面(8月22日、ドローンで撮影)

■貯水率低下で姿現す

 今夏の少雨の影響で貯水量の減少が続く嘉瀬川ダム(佐賀市富士町)。水位がぐっと下がり、水没していた橋や道路が現れている。かつて200戸余りの住宅があり、のどかな生活が営まれてきた地域。嘉瀬川の清流がきらめいていた山里の面影が浮かび上がる。

 嘉瀬川ダムは国の大型公共事業で1973年に調査が開始され、39年後の2012年3月に完成した。福岡ヤフオクドーム40杯分に相当する県内最大規模の巨大な「水がめ」。水不足で地盤沈下に悩んでいた白石平野へ農業用水を供給し、下流域の河川氾濫を防ぐ洪水機能を果たしている。

 ダムに水をためてから7年。貯水率が初めて50%を下回り35%以下となった。小ケ倉地区では、水の底に眠っていた旧国道や嘉瀬川に架かっていた古い橋が姿を見せている。橋から続く丘陵地はかつて集落があって棚田も広がり、夏には川遊びをする子どもたちの姿があった。

 古里を見ようと車で訪れる人が増え、ダムの上部に付け替えられた国道から望んでいる。集落では最後に移転し、99年5月5日の引っ越し時に橋を渡った姉川紀之さん(62)=佐賀市=は「慣れ親しんだ道や橋から子どもたちが魚釣りをしていたのを思い出し、懐かしい。ただ、昔の姿がなくなった寂しさも感じる」と複雑な心境を語った。

 福岡管区気象台が25日発表した九州北部の3カ月予報では、9月以降も移動性高気圧に覆われやすく、降水量は平年並みか少ない見込みという。貯水率の落ち込みを受け、農業用水や工業用水の自主節水が行われている。

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