基本計画を検討してきた唐津市本庁舎建設委員会。1%入札の設計業者は「オブザーバー」として毎回2~4人が出席していた=今年1月、唐津市役所

■設計提案なぜ1者だけ 同業者「土俵上がる気力うせた」

 唐津市役所の現地建て替え計画が設計業者の選定を巡り足踏みしている。競争を担保するため2者以上の参加を成立要件としたプロポーザル(提案)方式の選定で、一つの共同企業体しか手が挙がらず、2度中止になり、工程が大幅に遅れている。他の業者が参加見送りの理由に挙げるのが、設計の前段となる基本計画策定業務の入札で1年前、予定価格の1%で落とした大手設計業者の存在。今回の選定を見越したなりふり構わぬ手法に、同業者は競争意欲を減退させられた格好だ。

 設計業務の選定はプロポーザル方式で、直近で実施された市庁舎建設の事例をピックアップすると、他市では5、6者が参加を表明している。6月の定例市議会で「なぜ1者しか応募がないのか」とただす市議に、執行部は「プロポーザルでは参加するにもコストがかかる。不採用では無駄になるのが一因」と説明した。市議は他市の例を挙げ「本当にそれが理由なのか」と納得しなかった。

 設計業者の中には「うちは技術者の手が足りない」との声もあったが、「基本計画の入札こそ根源」との指摘がある。昨年6月、9社による指名競争入札で、設計大手が19万円(税抜き)を提示。市が予定価格約1867万円(税込み)としていた業務を2桁違いで落札した。

 市が業務委託に最低制限価格を設けたのは今春からで、当時は1%入札も可能だった。ただ、同業他社からは「次の基本・実施設計で元が取れると考えないと、出せない額」「プロポーザルはモチベーションがすべて。市役所は魅力的な案件だが、同じ土俵に上がる気力がうせた」との声が漏れる。

 当該の設計大手は、納期までに基本計画(約60ページ)を手掛け、その基となる資料を作成した。1月まで開かれた市本庁舎建設委員会にもオブザーバーで参加し、福岡県飯塚市の視察を含む計6回、2~4人を派遣し、市とともに目指すべき庁舎像を探ってきた。

 こうした業務を19万円で請け負い、その後の工程に影響をもたらしている現状について、同社は「(3回目の)プロポーザル中の案件で、お答えできない」としている。公表されていないが、手を挙げている1者は同社と地場の共同企業体とみられる。

 他市では基本計画を自前で作成している例もある。唐津市新庁舎建設室は「50、60年に一度の事業で庁内に経験者がいない。実績ある設計事務所に専門的視点から支援してほしかった」と語る。学校の改修事業も重なり、技術職員が不足していた事情もある。

 市は合併特例債を使える期限の2020年度の完成を目指している。2度の不成立を受け、3回目の選定では「2者以上」の条件を1者でも成立するよう見直し、参加業者を募集中だ。やり直しに伴い、当初1年間だった設計期間は7カ月に短縮された。市は期間延長を協議する用意もあるとしているが、ある設計業者は「7カ月はまともなレベルではない。せめて1年半は必要だ」と工期設定にも疑問を投げ掛ける。

 業者の思惑が交錯する中、募集は今月5日、締め切られる。

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