民進党の代表選がスタートした。女性初の代表を目指す蓮舫代表代行と、すでに代表経験がある前原誠司元外相に、若手が推す玉木雄一郎国対副委員長が割って入る三つどもえの構図になった。

 人気の蓮舫氏か、経験の前原氏か、若手の玉木氏か-。この代表選は、次の衆院選を率いるリーダーを決める重要な意味がある。

 主な争点は二つだろう。一つ目は参院選で一定の成果を上げた野党共闘路線を引き継ぐのか。もう一つは、参院選の与党勝利で現実味を帯びてきた憲法改正に対する立ち位置である。

 先の参院選では全ての1人区で野党候補者の一本化が実現し、東北エリアの議席を確保するなど、一定の成果を挙げた。

 だが、野党共闘を主導した共産党と民進党では、基本的な理念が大きく異なる。将来の政権交代を目指すのであれば、この問題にどう向き合うのか、きちんと整理しておく必要がある。

 共同記者会見で蓮舫氏は「野党連携については代表になってもう一度、みなさんの意見を聞きたい」としつつも、衆院選での連携は否定。前原氏も「衆院選は政権選択の選挙。一度リセットすべきだ」と見直す考え。玉木氏は「単独で政権を担う政党に」として、独自路線を強調した。

 憲法改正については、各候補とも論議そのものには応じるようだが、9条に対する考え方は異なる。蓮舫氏が「憲法9条、平和主義を守る」としたのに対して、前原氏は「自衛隊の位置付けをしっかり議論すべきだ。将来の日本を構想する憲法論議をしていきたい」と述べた。玉木氏は「党内で1年をめどに憲法提言をまとめるべきだ」とした。

 民進党が発足して5カ月が過ぎたが、有権者は政権を担う受け皿とは認めていないようだ。政党別支持率でも、自民党が4割近いのに対して、民進党はわずか1割にとどまっている。

 低迷が続くのは、民主党が下野した政権交代から3年半以上が過ぎてなお、有権者の多くは当時を忘れてはいないからだ。東日本大震災、続く東京電力福島第1原発事故への対応、尖閣諸島の取り扱い、官僚を使いこなせずにはき違えた政治主導による停滞など、政権担当能力を疑わせる事態があまりにも多すぎた。

 自民党から政権を奪った当時、鳩山内閣の支持率は70%を超え、国民は大きな期待を寄せていた。それだけに、国民の落胆、失望が深かったのも当然だろう。

 二大政党制の理想は色あせ、自民1強時代を迎えた。強い与党に代わる選択肢どころか、時に強引な政権運営を見せる与党へのブレーキ役さえも失った今の政治状況は、有権者にとって決して好ましくはない。

 民進党には強い与党への対抗軸として、国民に選択肢を示す責任がある。各候補者は、民主党政権時代を総括した上で、いかに党を立て直すつもりか、その道筋を具体的に示してもらいたい。

 新代表の任期は2019年9月末までで、次の衆院選を率いることになる。野党第1党として国民の暮らしや安全をどう守っていくのか、率直で幅広い論戦を聞かせてほしい。そこから、再生への展望が見えてくるはずだ。(古賀史生)

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