北有明カントリーから望む北明地区。地平線まで広がる農地には、水稲やレンコン、大豆と多種多様な作物が作付けされている=杵島郡白石町

 今年7月、杵島郡白石町で集落営農の15組織が合併し、九州最大規模の農事組合法人「ほくめい」が誕生した。組合員数327人で、経営面積653ヘクタール。個人で大規模展開する認定農業者も加わり、世帯加入率は93%と高水準で、文字通り地域ぐるみの組織として立ち上がった。

 合併した15組織はいずれも北明小学校区で、JAさが白石地区北有明支所管内でもあり、もともと生産や地域活動で協力してきた歴史がある。それでも合併協議をまとめ上げるのに2年近くを要した。

 「農家が会社ば立ち上げて何をするのか」-。小川英樹代表理事(61)は“現状維持”を求める地域住民の声を聞きながらも、「跡取りがいない農家も増えた。残った若いもんは(単価が高い)施設園芸や露地野菜で稼いでもらわんといかん。今、動かないと状況はどんどん厳しくなる」。青年部、女性部の各組織、大規模農家も巻き込んで粘り強く説得を続けた。

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 「人材を確保するという点では広域でまとまる方がいいこともある」と立ち上げを支援したJAさが北有明支所の筒井雅和営農経済課長は、大規模合併の意義を強調する。

 北明校区でも小さな集落でまとまった組織は担い手が少なく、農機のオペレーターの確保が難しい、役員が毎年同じ顔ぶれで疲弊する-といった課題に直面していた。小川代表理事も「離農者が今より増えれば、よそから農地の受け手を探すことになるが、まずは校区内で話し合いすることになる。役員や農機のオペレーターも融通し合うことができる」と話す。

 農協の支所単位でまとまったことで、資材調達や営農指導の面でもメリットがある。JAさがでは、肥料農薬の大口購入者には現金で還付する制度があり、年間3千万円以上の「特A」顧客には購入額の5%が支払われる。JA側としても支所管内の営農組織が一本化されることで事務負担が軽減され、ワンストップでの相談体制も構築され、よりきめ細やかな生産技術指導ができる。

 「ほくめい」の本格始動はまだこれから。前例のない大規模法人ゆえに手探りの経営が続く。小川代表理事は設立総会で「一人の天才よりもみんなの力。ほんの少しずつでも意識を変えていきましょう」と呼びかけた。かつて集団方式で反収日本一を成し遂げた佐賀農業の強みを、再び発揮するときが来ている。

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