農林水産省九州農政局が、「九州食料・農業・農村情勢報告(九州農業白書)」の2015年度版を公表した。米麦大豆などの土地利用型農業では、水稲の作付面積が減少傾向なのに対し、稲発酵粗飼料(WCS)用の青刈り稲が拡大し、食用米からの転換が急速に進んでいる現状が浮き彫りになった。白書から佐賀県内の農業事情を読み解く。

 WCS用の青刈り稲は全国3万8226ヘクタール(15年産)に対し、九州は55・6%にあたる2万1257ヘクタール。佐賀県内も11年の333ヘクタールから1055ヘクタールまで4年間で約3倍に拡大している。

 同局は「直接支払交付金が作付け10アール当たり8万円と手厚いことに加えて、九州内は畜産が盛んな県が多いこともあり、需要者とのマッチングが進みやすい」と分析。比較的少ない労働力で水田を維持でき、中山間地でも収量を確保できる品種も登場しており、今後も作付けが増加する見通しだ。

 耕地面積に対する作付面積を表す耕地利用率については、米・麦や米・露地野菜などの二毛作が盛んな地域性を反映し、131%と抜きんでている。

 14年の全国農業産出額は8兆4279億円。九州は1兆7017億円(全国比20・2%)で、佐賀県は1230億円(同1・5%)だった。県内の内訳は野菜が最多の404億円で、米226億円、果実168億円、肉用牛127億円と続いている。

 野菜では、アスパラガスとタマネギが産出額ベースでいずれも北海道に次ぐ全国2位。イチゴは同6位で、福岡(2位)、熊本(4位)、長崎(5位)と九州勢が上位を占める。果樹では、ミカンが106億円で5位、デコポン(17億円)や清見(5億円)がいずれも3位と、かんきつ類が上位に食い込んでいる。

 白書では、熊本地震や火山活動、台風などの自然災害の被害状況や、茶の輸出促進に向けた取り組みを特集した。担い手や6次産業化の先進事例特集は、熊本地震対応などのため、本年度に限って掲載を休止した。このほか、九州が日本の食料供給基地として重要な役割を果たす一方、農業従事者の減少や高齢化などの課題を抱えている現状なども詳しく報じている。

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