前年比2桁増となった佐賀玉屋の催事「九州うまかもん市」=佐賀市

 7月の佐賀県内の経済は猛暑や大雨の影響もあり、業種によって明暗が分かれた。暑さをしのぐ季節商品の売り上げ増などで大型店が堅調だった一方、外出を控える動きもみられ、レジャー産業は伸び悩んだ。

 季節商品は、エアコンの販売が前年に比べ2桁増となったほか、水出し用ティーバッグが売れ、食品関連の催事も人気を集めた。

 一方、県内のゴルフクラブは、全体の6割で来場者数が前年を下回った。機械・電気関連では猛暑の影響で工場の作業効率が落ち、生産量が低下した。

 有田焼業界は景気の足踏みが続いているものの、独自企画の量販店向けや催事用品が動くなど明るい兆しが出始めている。大型の工事が少なかった建設、建具は前年を下回り、印刷、家具、ICTは前年並みだった。

 

中元、エアコン2桁増 

◇…大 型 店…◇

 売り上げ、来店客数ともに前年をわずかに下回った。婦人服、リビング関連、宝飾品が苦戦。バーゲンを6月末に前倒ししたのも影響した。催事の「九州うまかもん市」の売り上げは2桁の増。室内遊園地の集客効果が子ども服やレストラン街にも波及している。

 (小笠原浩幸・佐賀玉屋営業企画部長)

 売り上げ、来店客数ともに前年を上回った。客単価は上がっているものの、1人当たりの購入点数は減少気味。少し高くても良い物を提供したい。ランドセルは好調で、中元の売り上げも2桁伸びた。婦人服や肌着は低調で、バーゲンで売れたという感触もない。

 (高橋邦典・ゆめタウン佐賀支配人)

 ◇…電 化 製 品…◇

 売り上げ、来店客数ともに前年を超え、わずかながら客単価も上がった。7月に入って気温が上がり、エアコンは2桁の増。10万円以上の高機能タイプがよく動いた。冷蔵庫、洗濯機などの大型白物家電も好調で数字を押し上げた。

 (池上英治・エディオン佐賀本店店長)

 ◇…  茶  …◇

 二番茶は夏の贈答品の準備で荷動きはあったものの、品薄による高値が影響したためか、例年に比べるとやや鈍かった。大衆品や業務用の茶はまだ不足感が続いている。水出し用のティーバッグは堅調で、利用が浸透してきているようだ。

 (橋爪英彦・県茶商工業協同組合理事長)

 ◇…製   麺…◇

 そうめんなど夏物商品は売れたが、全体の売り上げは前年並み。中元商戦はいまひとつ伸び悩み、若い人たちへのアプローチが課題になっている。10月には輸入小麦粉の政府売り渡し価格が改定される。影響を注視したい。

 (古賀義治・県製粉製麺事業協同組合理事長)

 ◇…印   刷…◇

 7月は端境期。例年と異なる需要は特になく、全体の売り上げは前年並みだった。懸念されるのは原材料の値上がり。製紙メーカーの人件費が上昇していることなどから印刷用紙の値上げに踏み切る動きがある。光熱費など経費削減に努めてはいくものの悩ましい。

 (平川直樹・県印刷工業組合理事長)

 ◇…機械・電機…◇

 猛暑で生産・製造現場の作業効率が落ちたことなどが影響し、全体の生産量は前月から1割程度、低下したようだ。ただ、好調な自動車関連や半導体メーカーとの取引企業は業績を伸ばしている。官公庁からの受注も、ものづくり推進の施策を背景に少しずつ増えてきている。

 (中村敏郎・県工業連合会会長)

 ◇…I C T…◇

 昨年はマイナンバー制度の導入に伴うシステム開発などの特需があったが、今年は目立った動きはなく、全体の受注数、売り上げともに平年並みだった。人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)関連の需要が期待されるものの、見通しは明るいとは言えない状況だ。

 (城島浩文・県ソフトウェア協同組合副理事長)

 ◇…旅   館…◇

 全体の宿泊者数は前年同月に比べて10%の減。九州北部豪雨によるキャンセルのほか、昨年は旅行費用を国が補助する「九州ふっこう割」の特需があり、その反動が出たようだ。一般の住宅を宿泊施設として活用する「住宅宿泊事業法」が成立した。どんな影響が出るのか対策を含めて検討している。

 (松下隆義・唐津市旅館協同組合理事長)

 前年同月に比べて宿泊者数が減少したところが多かった。「九州ふっこう割」が昨年末で終了した反動減が要因として考えられる。2年前と比較すると同程度で、平年並みの水準は維持している。訪日外国人客の需要も続いており、今後はややプラスで推移するのではないかと期待している。

 (池田榮一・嬉野温泉旅館組合理事長)

 ◇…ゴ ル フ…◇

 県内の来場者数は前年同月比0・1%増で前年並みだった。全15クラブのうち6割が前年よりも減少している。豪雨の影響などが考えられるが、地域によって好不調のばらつきが出たようだ。猛暑が続いているのも集客にはマイナスで、天候に悩まされている施設も多い。

 (毛利雄治・九州ゴルフ連盟支配人部会県代表幹事)

 ◇…バス・タクシー…◇ 乗り合いバスの運送収入は前年同月比0・1%増で横ばい。高速バスは天神線が下回ったが、空港線は夏休みの旅行需要が伸びて6・0%増だった。貸し切りバスは、運送収入が6・0%増、輸送人員も5・0%の増だった。前年は熊本地震の影響でツアーのキャンセルが相次いだためだが、前月よりも伸び率は下がっている。タクシーの運送収入は旅行需要を取り込み、3・4%増だった。

 (江上康男・県バス・タクシー協会専務理事)

 ◇…石   油…◇

 県内のレギュラーガソリン1リットル当たりの平均小売価格は133円。前月から20銭安で小幅な値動きだった。販売量(6月)は、ガソリンが前年同月比5・6%、軽油が同9・4%それぞれ増加した。元売りメーカーの卸値が7月に引き上げられる前の駆け込み需要が起き、数字を押し上げたとみられる。

 (光武繁・県石油商業組合専務理事)

独自開発で明るい兆しも 

 ◇…陶 磁 器…◇

 前年比16・74%減と厳しい状況が続く。大口取引がある商社がけん引役となることを望むが、全体的に落ち込んでいる。ただ、有田焼創業400年事業から新たな組織が発足し、業務用市場開拓に向けた取り組みもスタートした。市場を再度掘り起こし、業界浮揚のきっかけとなることを期待する。

 (百武龍太郎・県陶磁器工業協同組合専務理事)

 量販店向けの商品が健闘し、前年比3・07%増だった。カタログギフト関連や秋口のシーズン物、ホテルでの催事用商品も動きがあった。いずれも独自開発の企画物で、各社に商品開発力が付いていることは心強い。景気の足踏み状態が続いている。一層の経営の効率化や営業の強化が求められる。

 (藤雅友・肥前陶磁器商工協同組合専務理事)

 前年比8・80%増と数字を伸ばした。首都圏での催事が好調で、業務用食器の大口注文もあったようだ。消費者の購買意欲をかき立てる品をいかに開発するかがこれからも肝要となる。例年売り上げが落ち込む夏場対策と、バスツアーなどが増えている外国人観光客の取り込みが今後も課題となりそうだ。

 (原口秀夫・有田焼卸団地協同組合専務理事)

 ◇…陶   土…◇

 動きの鈍さが続き、前年比6・2%減だった。取引先の決算時期と重なったこともあり、買い控えも散見された。商材は動いていても、雑貨や豆皿などの小物が中心で、陶土の需要につながっていないようだ。一時期の好調さが影を潜めており、秋から年末商戦にかけての展開を期待する。前月比は10・5%減だった。

 (一ノ瀬秀治・肥前陶土協同組合主事)

 ◇…建   設…◇

 県内の公共工事の請負金額は前年同月比3・9%減の80億5600万円、件数は9・6減の217件だった。請負金額を発注者別にみると、国、県、市町、独立行政法人のいずれも前年実績を下回った。中でも国は大型工事が少なく、45・0%の大幅減となった。

 6月の住宅着工は44・7%増の521戸だった。

 (中島博文・県建設業協会専務理事)

 ◇…不 動 産…◇

 豪雨や猛暑の影響で全体的に動きは鈍かった。佐賀地区は中古住宅が伸びているが、分譲地の売れ行きがいまひとつ。鳥栖・三神地区は商用地以外の新築住宅や中古マンションに需要があった。杵藤地区は中型分譲地の販売が活発。唐津地区も総じて安定的に動いたが、伊万里地区は中古住宅や分譲地の需要に供給が追いついていない。

 賃貸は、条件の良い新築に人気が集中。古い物件は供給過多の状況で空き室が目立っている。

 (山口英則・県宅地建物取引業協会地域振興委員長)

 ◇…家   具…◇

 売上高は前年並みの組合員が多かった。ただ需要は年々減少し、業界を取り巻く環境の厳しさは増している。前年水準で良かったとは言えない状況だ。他社にはまねできない独自性のある商品で、商機を見いだしていきたい。

 (樺島雄大・諸富家具振興協同組合理事長)

 ◇…建   具…◇

 組合の資材共同購入額は前年同月比8・8%の減。44・1%増だった前月と比べると、18・9%減と大きく落ち込む格好となった。受注数は企業によって偏りがみられるが、今後の見通しは総じて不透明。各社が得意分野を伸ばし、大手との差異化を図っていくことが肝要だ。

 (石井敏明・県木工業協同組合理事長)

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