厚生労働省は国民生活基礎調査を基に、2015年時点の「子どもの貧困率」を13・9%と発表した。景気や雇用情勢の好転を背景に、過去最悪だった前回から2・4ポイント改善したものの、「7人に1人」という高い水準が続いている。ひとり親世帯の貧困率は依然として50%を超えている。対応は急務で、地方自治体にも地域事情などを考慮したきめ細かい実態把握と対策が求められる。

 調査は3年おきに実施しており、改善は12年ぶりだった。今回の内容をみると、全世帯の平均所得額は12年比1・6%増の545万8千円。子育て世帯は5・1%増の707万8千円。18歳以下を含む全世代の貧困率は15・6%だった。ひとり親世帯の貧困率は50・8%で、12年度から3・8ポイント改善したが、依然として半数が貧困状態にある。

 今回の調査の「子どもの貧困率」の定義は、可処分所得を指標にしている。貧困への具体的な対応が求められる地方自治体は、所得だけでなく、地域事情などを考慮したさらに詳しい調査とその結果に対応する施策が求められる。

 武雄市はことし2月、「子どもの養育の困難度が高い世帯は19%」という調査結果を発表した。昨年秋、小中学校3学年の児童生徒や保護者に行った初の生活実態調査を基にしたもので、世帯所得だけでなく、二つの指標も加えて3指標で算出した。

 3指標の具体的な内容は①世帯年収250万円未満②3度の食事、高校進学など5項目の「必要な環境・モノ」のいずれかが実現できていない③「必要な食料品が購入できなかった」「公共料金の滞納」などの4項目のどれかに該当-という3指標を設け、1指標でもあてはまれば「困難度が高い」とした。所得が十分にあっても、十分な食事を与えなければ“養育困難”ということになる。

 所得だけでなく、子どもの生活や養育環境などを含めて貧困を考える指標は、子どもが体験の機会を奪われているとの考え方から「剥奪指標」と呼ばれる。武雄市の場合は、「高校進学」など8割以上の保護者が必要と考えていることが困難な場合を判断材料に取り入れた。東京都大田区では「子どもと海水浴に行く」「年に1回程度家族旅行をする」などの14項目でやっていないことが三つ以上あれば「生活困難層」と位置づけている。これから調査を検討している自治体は指標の設定方法などを参考にしたい。

 佐賀県こども家庭課によると、県内では既に武雄市と佐賀市、嬉野市が子どもの貧困に関する調査を実施し、玄海町も本年度に行う予定という。調査を終えた武雄市は、本年度から準要保護の中学3年生に高校進学等準備金制度を新設し、養育困難の兆候がみえる世帯に進級進学などの環境変化にも途切れなく同じ人が対応する「伴走型支援」の制度も設けた。

 国も生活保護世帯の高校生が大学や専門学校に進学できるよう、来年度から経済的に支援する方針を明らかにした。支援は経済的施策だけでなく、学習機会の提供や就業、生活や子育てに関する相談などさまざまな分野で考えられる。行政も横断的な体制が必要だ。地域の状況にあった支援につなげるため、自治体も調査と対応を急ぎたい。(小野靖久)

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