子どものいじめで探偵事務所への調査依頼が増えているという。本来なら保護者が学校に相談し、解決策を一緒に考えるのだろうが、「動かぬ証拠がなければ、学校は動いてくれない」。探偵の阿部泰尚さんは著書『いじめと探偵』で背景を描いている◆尾行や録画・録音で証拠を集めるが、一番重要なのは子どもの協力だ。暴力や恐喝など被害が大きいほど報復をおそれ、隠したがる。それでも「先延ばしはだめ。今解決しよう」と説得する。信頼関係の構築が問題解決の第一歩という◆夏休みの終わりに子どもの自殺が全国で続いた。学校が苦痛の場というのは親の一人として心苦しい。今はスマホで陰湿な悪口が広がる時代であり、家族も学校もなかなかいじめに気づけないという。しかし、問題はそれだけか◆昨年11月に名古屋市の中学生が自殺した問題で市教育委員会の第三者機関が検証結果をまとめたが、「いじめ以外にも成績の低下などさまざまなストレスを募らせた」と原因をぼやかした表現だった。いじめを示す遺書も他生徒の証言もあったはず。真相に迫らなければ、再発の土壌は残るのではないか◆子どもたちは言葉にしなくても体調や行動の変化でSOSを出している。それにどうやって気づき対応するか。阿部さんは言う。「信頼できる大人がいれば探偵はいらない」(日)

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