〈そのこはこどもなのにおかねをかせいでいる/そのおかねでおとなはたべものをかう〉。詩人の谷川俊太郎さんの詩をもとにした絵本『そのこ』の一節だ◆赤道近くの西アフリカの国、ガーナ。そこには学校に通うこともできず、チョコレートの原料になるカカオ豆の農園で日がな一日、働き続ける子どもたちがいる。詩はそんな窮状を訴える。〈ちきゅうのうえにはりめぐらされた/おかねのくものすにとらえられて/ちょうちょのようにそのこはもがいている〉◆遠く離れた国で食べられるチョコレートには、児童労働という負の要素がついて回る側面もある。国際労働機関(ILO)は、世界で今なお1億5160万人の子ども(5~17歳)が何らかの労働に従事しているとの報告書を出した◆世界の同年代の子どもの約10人に1人に当たるという。15歳未満の子どもの就業は、国際条約などで原則禁じられているのにだ。危険な鉱山での作業や売春をさせられる子どもも後を絶たない。このままではいけない◆〈そのこのみらいのためになにができるか/だれかぼくにおしえてほしい〉。ここで詩は終わる。先進国での大量消費の裏側で、生産者の労働に見合った報酬が払われていない発展途上国の現実もある。貧困の連鎖を断ち切ること―。それにはまず知ることから始めなければ。(章)

このエントリーをはてなブックマークに追加