永松亨さん書籍

 佐賀市久保田町の郷土史家永松亨さん(81)が、古文書などに記載のある太俣郷(ふとまたごう)(現久保田町)について翻刻し、治政の側面など詳録した「肥前佐賀藩 太俣郷資料集」を出版した。「町の歴史をより深く理解したり、次代の人が多角的に検証する際に、資料集が一助になればうれしい」と話している。

 太俣郷は龍造寺宗家として存続した村田家を領主として、江戸期佐賀鍋島藩において小城・蓮池・鹿島御三家に次ぐ親類として続き、明治維新に至るまでの約260年間治政を行った。永松さんは、曾祖父七郎助(後に「亨」と改名)が佐賀藩久保田領主村田若狭(1814~73年)の近侍(きんじ)役で、残された史料をこれまでにも精力的に翻刻している。

 龍造寺家の歴史については「龍造寺家文書」などで知られているが、村田家については領主の治政の一部が見られる程度で、江戸期の久保田領の動きについてまとまりある歴史資料は少ない。それらの資料は古文書など、ほとんどがくずし字で書かれている。

 永松さんは「後世の人のために、誰でも読める形に活字化して残そう」と翻刻を決意した。佐賀県立図書館所蔵の資料や鍋島家文庫に散見する太俣郷の記述を抜粋し翻刻した。

 執筆を通して、太俣郷に限らず佐賀鍋島藩では藩政時代を通じて種々の災害はあったが、一揆、騒乱などの事件はなく、豊かで争いのない穏やかな生活が営まれていたとしている。永松さんは「これからも、久保田領に関する資料をはじめ町の歴史を伝えるために、翻刻を続けていきたい」と意欲を語った。

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