佐賀市が情報公開請求を受け開示したCO2分離回収装置運転月報の資料。供給量は黒塗りで非公開となっている

 佐賀市は、昨夏から運用している市清掃工場の二酸化炭素(CO2)分離回収装置の稼働実績を巡り、企業へのCO2供給量と売却額を非公開としている。供給量や売却額によって企業の経営状況が類推され、企業の競争上の地位を害する恐れがあると説明する。ただ、非公開により総事業費14億円を超える大型事業の実態を市民が把握するのは難しく、専門家は「非公開は不当な判断」と指摘する。

 市は、ごみ焼却で発生するCO2を回収し、藻類を培養する隣接企業に販売している。全国でも珍しい事業で、昨年8月に稼働した。

 総事業費は14億5千万円で、このうち5億円は国補助金。市は2016年度当初予算で764万円、17年度は1255万円の販売収入を見込んでいる。さらに、清掃工場(高木瀬町)北側の用地約20ヘクタールを約18億円で取得・整備し、藻類関連企業に売却する。培養規模の拡大で収入は増加するとみており、将来的には1日10トンを回収、年間1億2千万円の売却益を見込む。

 佐賀新聞社が装置の昨年度の稼働実績とCO2の供給量、売却額、稼働期間について情報公開請求した。市が4月20日付で公開した月報や日報では、稼働期間は記されていたが、供給量などは黒塗りで非開示となっていた。

 市のバイオマス産業都市推進課と循環型社会推進課は、非公開の理由について「供給先が1社であるため、供給量や売却額を公開すると企業の経営状況が類推される恐れがある」と説明した。企業側にも意見を尋ねたところ、非公開を求められたという。

 一方、市事業の実績などを報告する9月の市議会決算では、供給量や売却額を公開する方針。情報公開請求に対して非公開とした理由との整合性については、議会の決算において主要施策の成果を説明する書類の提出などを義務付けている地方自治法233条が根拠になるという。

 市担当課は「議会の決算では法令上、示さなければならないので公表する。16年度の収入見込みに達したかどうかも決算で報告する」としている。

 「知る権利」の保障を求めて活動しているNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「民間同士では非公開となることでも、行政の公共政策に関われば公開される。公開が企業の競争上の地位を害するとも思えない。決算で公開を前提としている情報でもあり、本来なら公開すべきだ」と話す。

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