東ティモールで描いた壁画

 日本に帰国し、個展を開いた。イギリスとケニアを経て満を持しての開催。絵は国内外で高く評価され、個展には連日大勢の客が押し寄せた-という筋書きはすぐさま崩れた。絵は全く売れず、大学の後輩の家に転がり込んだ。30歳手前、いまだ何者にもなれていない自分への焦りと将来への不安に襲われた。ずっと後輩の家にいる訳にもいかず、佐賀に帰ることにした。

 年の暮れ。後輩と寂しくお酒を飲んでいると電話が鳴った。個展を見たというNHKの関係者からで、新番組「熱中時間」の美術セットに絵を描いてほしいという。それから巨大なセットに絵を描き、その後3年間、毎週ゲストの似顔絵を描き続けた。

 番組終了後、以前訪れたケニアの学校から依頼を受けて再び壁画を描きに行き、翌年に東日本大震災が発生すると帰国。被災地で子どもたちに絵のワークショップを開いたり、仮設住宅に壁画を描いたりした。2015年、ケニアの学校が火事にあったので再び現地へ行き、新しく築かれた壁に絵を描いた。

 「ケニアだけで終わらせたくない」-そんな意識も芽生え始めた。昨年、東ティモールで壁画を描き、毎年海外で壁画を描くプロジェクト「Over The Wall(オーバー・ザ・ウォール)」の第1回とした。今夏には、日本と国交25周年のウクライナに行き、絵を通して言葉や文化の壁を超える。

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