福岡都市圏の移住希望者の相談に応じたいと、県は毎週水曜にサポートデスクを開設している=福岡市の博多バスターミナル

 ふるさと創生で定住人口の拡大が課題となる中、新たな人の流れをつくりたいと、佐賀県が県内への移住希望者の支援に本腰を入れている。狙いの中心は福岡都市圏で暮らす県出身者。進学や就職で移ったものの、仕事などの問題が解決できればUターンしたいと考えている人も少なくないからだ。ただ、実際に移住となれば、家族も含めて相当な覚悟が必要だろう。希望者の不安を和らげる支援をさらに充実させてほしい。

 水曜夕方の博多バスターミナル。9階会議室に佐賀暮らしの魅力を訴えるポスターやのぼりが掲げられる。県が8~10月の3カ月間限定で開設している移住サポートデスクで、毎回仕事帰りの20~50代の会社員ら3人程度が訪れる。担当者は「じっくり時間をかけて相談に応じている」と話す。

 県は昨年7月、常設の移住サポートデスクを県庁内に開設。市町と連携し、移住希望者の受け入れに力を入れ始めた。昨年度、県のサポートデスクや市町の移住支援事業を活用した県内への移住者は253人。うち約3割の72人が福岡からで、今回の相談窓口には、こうした流れをもっと強くしたいとの思いがにじむ。

 県によると、移住希望者の最大の悩みは、移りたくても現在の収入や待遇に見合う仕事が佐賀に少ないということに尽きるようだ。県は移住希望者に求職・求人サイト「Uターンナビ」への登録を促し、個別相談で県内企業とのマッチングに努めているが、キャリアが高い人ほど厳しいのが現状のようである。

 そのため、職場は今のままで暮らしを県内に移すことも推奨している。佐賀市から博多まで特急で40分。九州の他県と比べて地理的優位性があるというわけだ。市町も同じ考えで、佐賀市は福岡など市外に通勤する新規就労者らに通勤定期の特急料金分を3年間補助する制度を設けている。利用者は現在48人で、潜在的な希望者はさらに多いと見ている。

 県の移住希望者向けのサイトには、県外から杵島郡江北町に移住し、夢だったパン店を開業した女性など、いきいきと暮らす人を数多く掲載している。移住を悩んでいる人の背中を押すには、こうした実例を紹介し、不安を和らげることが大切だ。仕事のほか、移住を希望する市町の空き家情報や転入奨励金などの支援メニューを、市町と連携して分かりやすく伝える工夫も必要だろう。

 よく言われることだが、アイデアや高い能力を持つ「外の人」が地域に刺激を与えてくれる。災害対策としての大手企業の地方移転が活発化し、ネット活用で場所を問わない働き方も広がっている。さまざまなアプローチで移住希望者の夢の実現を支援し、地域の活力につなげたい。(杉原孝幸)

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