本年度末を目標に検討されてきたJR鳥栖駅周辺まちづくり基本計画と、駅周辺の都市計画道路整備計画の策定が2017年度に相次いで先送りされた。市と国・県など関係機関との調整不足が主な理由で、市に対して明確なロードマップを作成し確実に事業を推進するよう求めたい。

 駅周辺まちづくりは1987年に鉄道の高架化計画が浮上したが、その後、曲折を経て市が白紙撤回。橋本康志市長のもと、改めて検討され、2015年2月に「橋上駅化」を公約に掲げて3選を果たしたことで再び動き出した。

 有識者や地域の代表らでつくるまちづくり検討委員会を立ち上げて16年3月、橋上駅化し東口に改札口を設ける基本構想をまとめた。さらに、ことし3月までに基本計画をまとめ、橋上駅舎や自由通路、駅前広場の位置や規模、駅周辺道路の見直し方針を決め、概算事業費や整備スケジュールを明らかにする予定だった。

 橋上駅化決定を受けて、棚上げされてきたもう一つの懸案である、駅東西の市街地を結ぶ都市計画道路3本のあり方について検討する懇話会も昨年5月発足。まちづくり委員会と連携させるため多くのメンバーが重複して委員に入った。現計画の継続、変更、廃止を協議してことし3月までに計画案をまとめる予定だった。

 だが、まちづくり基本計画、都市計画道路のいずれも17年度に持ち越すことに。主な理由はどちらも「関係機関との調整になお時間が必要なため」とされる。

 まちづくりについては年明けの委員会で駅西側の複雑な交差点を「十字形式」に集約することを確認したが、道路管理者の県などから渋滞緩和のため一部カ所の拡幅などを求められている。都市計画道路については市内の国道3、34号や主な県・市道で混雑が激しく、熊本地震のように今後も災害時の支援拠点になることが見込まれるため、より広域的な視点で検討するよう指摘されている。

 調整が難航している背景には、市と国・県との基本的な考え方の違いもありそうだ。市は現実的な対応としてできるだけコストをかけずコンパクトな形で早期の実現を図りたい意向だが、国や県は将来の発展を見越して福岡・久留米・佐賀の各都市圏からの人・モノの流れを想定しより広域的な視点で整備方針を決めようとする、そのスタンスの違いである。

 鳥栖市にとっては国や県がこうした指摘をすることは予測できたはずで、なぜもっと早い段階から密な調整を図り、スケジュールに遅れが出ないようにできなかったか、残念で仕方ない。

 まちづくり検討委員会では「市民が少しずつでも計画が進んでいることを実感できるように、できるところから着手して」との意見が出されていたが、市民の間に「また遅れるのか」との落胆が広がらないかも心配である。

 市は駅前整備と都市計画道路を切り離して協議を進める方針を示している。今後数十年のまちづくりの骨格となる事業だけに急ぎすぎてはならないが、すでに鉄道高架化浮上から30年の時が過ぎてしまった。遅れれば遅れるほど成長のチャンスを逃すことにもなりかねず、一層の奮起を期待したい。(高井誠)

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