400~370年前に製作された初期の有田磁器(小溝上窯跡)

■世代超えブランド育成を

 有田焼創業400年の年も、そろそろ終盤を迎えつつある。序盤、中盤を振り返るも、日々目にする町の景観自体には、さほど大きな変化はない。しかし、人々の意識の中に、変革を望む意気込みを感じられるようになったのは、大きな変化であろう。バルブ崩壊から、はや四半世紀。何もせずとも作れば売れた過去と決別し、仕切り直しすべき時なのは間違いない。

 今から400年前にはじまった磁器も、単にその素材の開発によって、成功への道筋が約束されたわけではない。むしろ大きな要因は、当初から供給するターゲットを絞り込み、新たな市場を創出したことにある。たとえば、消費者の視点で物作りを行うマーケットインの手法により、陶工の持つ朝鮮半島の技術を基盤としつつも、製品にはそれを封印し、当時国内市場をほぼ独占していた中国磁器を手本に染付製品主体に仕上げている。

 ただ、まだ技術的には劣勢な中国磁器との直接的な競合回避のため、あえて忠実なコピー商品とすることはなかった。プロダクトアウトの手法で、日本の文化や慣習に合致するさまざまな器種・器形や文様を市場に提案し、まずは陶器以上、中国磁器以下という隙間の市場を新たに開拓したのである。

 ブランドは、いわば消耗品である。世代を超えて、常に育て続けなければ、やがては使い果たしてしまう。今こそ400年目の意気込みで現代的な価値を付加し、ブランド力の強化につなげてほしい。(有田町教育委員会学芸員・村上伸之)

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