20市町議会と県議会の状況

■議会側「負担考え苦渋の選択」/住民側「まるで待遇改善要求」

 定数を削減する一方、議員報酬を増額し、議員のなり手発掘につなげる-。多久市議会が示した議会改革案が波紋を広げている。住民側は議会活動自体が見えにくく、行政へのチェック機能が十分に果たされているのか不満を抱き、改革案は「生ぬるい」と、さらなる定数削減を求めたり、議員報酬アップを批判したりしている。

 多久市議会(定数16)の議会改革特別委員会(中島慶子委員長)は昨年末、定数を1人削減し、議員報酬(月額34万5000円)を1万5000円増額する改革案を議長に答申した。

 「これは議会改革案なんかではない。議員の待遇改善要求案だ」

 新聞報道で答申の中身を知った区長からは疑念の声が上がった。「議会報告会で改革案の中身をまともに教えることなく、こんな内容で済まそうとしたのか」。市区長会の野田義雄会長は苦り切る。年明け早々、答申内容を「遺憾」として「削減は2人が妥当」、「報酬増額は誠に残念」とする要望書を突き付けた。

 改革案の論議は、2年前の市議選無投票がきっかけ。議会側はすぐに特別委を設置し、1年半論議を重ねた。野田会長は議会の早い動きに改革への本気度を感じ、「議論を見守ろう」と静観した。

 一方で区長会は他の議会と比較しながら研究も進めていた。多久市議の費用弁償(1日2600円)の受給額を一人ずつ調べ、昨年1年間で総額は208万円だった。一人の議員が受給した最高総額は16万1200円、最低は約9万円と開きがあった。

 改革案の重点目標には「若手の専従議員の発掘」として、なり手不足対策が盛り込まれている。市議選への出馬経験がある50代の男性は嘆く。「答申はあまりにも保身的。これでは議会の活性化は望めず、若い人は増額でさえ(議員に)魅力を感じないのでは」

 議会側は改革案を地区住民に丁寧に説明するとしている。特別委のメンバーの一人は「常任委員会の構成や、一人一人の議員にかかる議会での仕事の多さを考え、最終的には多数決をとり、苦渋の選択だった」と明かす。年内に議員発議で答申案通り可決する見込み。議員報酬の増額は、市が設置する特別職報酬等審議会で論議される。

 1月23日に開かれた1回目の審議会。8人の委員に改革案が配布された。顔見せ程度で終わるはずの会合は、改革案を巡り早くも論議があったという。

 これまで人事院勧告を基に報酬の増減を決めていた審議会の関係者は頭を抱える。「なぜ前回の市議選が無投票で終わったのか、分析が十分ではない」と指摘し、「(議員を)1人削減で浮いた人件費を充当するような増額案を審議する正当性はあるのか」と首をかしげる。次回は新年度に予定されている。

【費用弁償】地方議会の議員が、定例議会や常任委員会などに出席した場合、自治体から支払われる交通費。条例では「旅費」と明文化。県内14市町で定められ、金額は自治体で異なる。定額制で県内最高は東松浦郡玄海町の1回3500円、最低は杵島郡江北町の1回900円。

 政務活動費 地方議会の議員が調査・研究活動のため、給与にあたる議員報酬とは別に、公費から支給される費用。県内では7市が採用。支給最高額は佐賀市の年60万円、最低額は武雄市の年10万円。県議会は年360万円。

=起承転々=

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