大相撲の稽古総見で入場を待つ大勢のファン=3日、両国国技館

■応援や観戦スタイル変化 協会の試行錯誤続く

 大相撲人気の沸騰が止まらない。1月の初場所後に稀勢の里が横綱になり、3月の春場所は劇的な逆転優勝。夏場所(14日初日・両国国技館)の前売り券は約1時間半で15日間分が完売した。活況の一方で、販売方法への批判や変化する客層への対応など新たな課題も表面化している。

■時間差販売

 前売り開始の4月8日。インターネットや電話、各種プレイガイドなどで午前10時に始まると高額の升席をはじめ飛ぶように売れた。昔からおなじみの国技館のチケット売り場は今回、販売スタートを正午にして他と時間差をつけたが、開始前に売り切れてしまった。

 売り場担当の勝ノ浦親方(元幕内起利錦)によると、国技館での発売を遅らせたのは、転売狙いのダフ屋による大量動員を排除することが主な理由だった。「一番は全国の方々に等しく買っていただくこと」と付け加えた。

 国技館の窓口の前に早朝6時から並んだ50人以上に対し、日本相撲協会は購入できない可能性を事前に説明。それを受け、プレイガイドなどへ急ぐファンもいたという。

 ただ、わざわざ国技館に足を運んでも入手できない人がいたことや、パソコンやスマートフォンの操作が不慣れな高齢者の立場からは不満の声が相次いだ。

■全席指定も

 2011年の八百長問題など、不祥事続出で館内に閑古鳥が鳴いていた時期に比べ、今や入場券はプラチナチケットだ。

 関係者によると、来年以降は国技館窓口での前売り販売を廃止する可能性が浮上しているという。各日約400枚の当日券を求めて多数の徹夜待ちが想定されるため、全席指定にする案もある。勝ノ浦親方が「何とかして売ろうという会議の内容が、最近は売り方をどうしようかに変わった」と明かすように、試行錯誤が続きそうだ。

 相撲協会の継続的なPRが実り、若い世代や女性の来場者が増えた。あるベテラン幕内力士は「最近のファンは『ブームになった大相撲だから私も好き』という少し変わった雰囲気を感じる」と苦笑い。応援や観戦のスタイルも変化してきた。

■時代に即して

 升席で横断幕を広げ、力士名を記したボードを掲げる光景は日常的になったが、後ろの観客が見えづらくなる面がある。特定力士へのリズムをつけたコールは大相撲の様式美から離れているとの指摘もある。春場所ではモンゴル出身力士に対する人種差別的なやじが飛んだとの報道もあった。

 長い伝統を誇る大相撲だが、時代に即した対応もまた必要。東京開催場所の責任者を務める尾車事業部長(元大関琴風)は「不入りの時期はつらかったが、今は今で悩みもある。全てのお客さんに楽しんで帰ってもらうための注意喚起を考えたい」と力説した。【共同】

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