■地域格差を解消 家族の負担、地域で共有

 厚生労働省は認知症の人が行方不明になるケースに対応するため、2017年度から都道府県単位での広域の見守りを強化することを決めた。現在は市町村ごとの取り組みが中心だが、発見や通報などの模擬訓練を複数の自治体で共同実施したり、地域の課題を共有するための会議を設置したりする。17年度予算の概算要求に約5600万円を盛り込んだ。

 警察庁統計では、認知症の行方不明者は15年に1万2208人で、3年連続で1万人を超えている。愛知県大府市で07年に起きた鉄道事故など家族が損害賠償を請求されるケースもあり(最高裁は賠償責任を否定)、事故を未然に防ぎ、本人や家族が安心して暮らせる地域づくりが狙いだ。

 厚労省はこれまで市町村に対し、認知症高齢者の連絡先を登録できるシステムの構築や、行方不明になった人を捜す市民参加の模擬訓練、ボランティアによる自宅訪問などの事業に補助金を出してきたが、自治体間で取り組みに差があった。

 認知症の人が自宅や施設から外出後、予想以上に長距離を移動し、居住地以外の自治体で保護されるケースもたびたび起きている。福岡県大牟田市や北海道釧路市のように近隣市町村を含めた広域の「SOSネットワーク」をつくっている例がある一方、縦割り意識や個人情報の取り扱いを巡る温度差から、市町村単独での対応にとどまる場合が多い。

 厚労省は、取り組みが遅れている市町村と先進地域の担当者を一堂に集め、課題を共有する会議を都道府県が開くよう後押しする。市町村を越えた広域での訓練も促し、いずれも費用の半分を国が補助する。

 認知症高齢者の事故を巡っては、関係省庁が作業部会をつくり、民間保険の活用などが検討課題に挙がっている。【共同】

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