法廷の出入り口に掲示された、裁判員への接触を禁じる文書=7月、福岡地裁小倉支部

 福岡地裁小倉支部(北九州市)で5月、裁判員が被告の知人の元暴力団員らに声を掛けられた事件を受け、裁判員裁判を実施している全国60の地裁・地裁支部のうち、95%に当たる57裁判所が、新たな安全対策を始めたり、具体的に検討したりしていることが4日、共同通信の調べで分かった。最寄り駅への送迎などマンパワーに頼った安全対策も多く、職員の負担を懸念する声もある。

 各裁判所に事件前と事件後の安全対策の実施状況を複数回答で聞き取るなどした。具体例については警備上の理由から大半が裁判所名を明らかにしないことを条件に回答した。

 新たな対策としては「裁判員への接触を禁ずる文書を庁舎内に掲示」が54裁判所と最も多く、「接触禁止を傍聴人に口頭で告知」(33裁判所)が続いた。事件前からの対策では最多の36裁判所が、トイレや駐車場を一般来庁者と区別したり評議室や控室の前に立ち入り禁止の看板を立てたりする「施設面の工夫」を挙げ、事件後も新たに5裁判所が取り入れた。

 職員が裁判員のそばにいて警戒するケースも目立った。「近隣の駅などに送迎」は事件後に16裁判所が採用、自宅まで車で送るケースもあった。「付き添いや見送り」も9裁判所が新たに実施。付き添いは庁舎内の移動時が主だが、「昼食での外出に付き添うことも検討」(北陸地方の裁判所)、「裁判員が喫煙所を利用する前に傍聴人がいないか確認する」(九州地方の裁判所)といった回答もあった。

 一方で、職員の負担に言及する裁判所も。甲信越地方の担当者は「声掛け事件は人ごとではなく、(安全確保で)やれることはいくらでもあるが、職員の負担を考えるとどこまでやるべきなのか悩ましい」と話す。

 旭川地裁など3地裁は以前から実施している対策で十分に安全確保できるなどとして新たな対策を取っていない。

 事件を受け最高裁は7月上旬、具体的な対策を示し、裁判員の安全確保を徹底するよう全国の裁判所に求めた。【共同】

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