暴力団員でないことを宣誓するゴルフ場の利用申込書=4月、福岡県

 各地のゴルフ場で受付時に暴力団員でないと宣誓させる取り組みが進む中、全国最多の五つの指定暴力団を抱える福岡県では、3割近くが導入を見送ったままとなっている。16年前の支配人襲撃事件が「トラウマ」になっているとみられ、働き掛ける警察や業界団体も打つ手がない状況だ。

 「ドキドキでした」。昨年9月「暴力団に属していません」という項目にチェックを入れる誓約欄を利用申込書に導入した福岡県北部のゴルフ場。支配人の男性が導入初日をこう振り返る。「騒がれたら他のプレーヤーに迷惑が掛かる」と気が気でなく、地元警察署から2人に来てもらった。これまでトラブルはなく、支配人は「周辺でも導入が進んだ」と話す。

 取り組みは3、4年前ごろから全国で始まり、今では大半のゴルフ場で実施されている。

 九州や関西の約800クラブが加盟する「西日本ゴルフ場支配人会連合会」によると、九州では佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島の5県で全ての加盟クラブが誓約書を導入。一方、福岡では今年3月時点で49クラブのうち14が導入していない。

 福岡で導入が進まない背景に、2000年10月の殺人未遂事件がある。北九州市にあるゴルフ場の支配人が短刀で胸を刺され、特定危険指定暴力団工藤会(同市)の組員らが有罪判決を受けた。事件は工藤会系組幹部が利用を断られた直後に起きており、福岡地裁小倉支部の判決は「報復のため」と認定した。

 福岡に二つあるゴルフ場支配人会が14年10月に開いた会合で、県警側が誓約書導入を呼び掛けたが、支配人らは00年の事件を念頭に「もめ事になったら誰が守るのか」「そこまで言うなら全てのゴルフ場に警官を配置しろ」と一斉に反発した。

 西日本ゴルフ場支配人会連合会でも福岡の遅れを問題視する声があるが「地域ごとに事情が異なるので制度化は難しい」(幹部)との立場だ。

 暴力団問題に詳しい加藤久雄弁護士は「ゴルフ場によって差が生じぬよう統一の誓約書を導入するなど、業界が一致団結して暴力団排除に取り組むことが重要だ」と話している。【共同】

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