地域の家々を回り、激励を受ける湊チームのコーチや選手たち=24日夜、唐津市屋形石

 「こんばんは。相撲連盟です」。24日夜の唐津市屋形石、湊チームのコーチや選手が家々を訪問し、大会日時や出場選手を明記した案内を配布していた。大会前の恒例の活動で、訪問先の住民は財布を取り出し、「頑張ってください。ちかっとばっか」と激励金を手渡した。

■9チームに減少

 

海に面した農漁村の湊校区。大きな企業はなく、昨年は300軒以上を回って30万円超が寄せられた。激励金は湊校区相撲連盟の運営費やまわし代に充てている。昨年まで監督を務めた折尾健司さん(42)は地域の厚意に感謝しながら、申し訳なさそうな表情も浮かべた。「ふがいない結果でも変わらず支援してくれる。結果で恩返ししたいのに」。今年は強化以前にチーム編成で苦心した。

 湊は古豪で、10度の優勝回数を誇る。しばらくそこから遠ざかっているものの、近年では他地域より人口が少ないにもかかわらず複数チームを出すことで一目置かれていた。A~Cの3チームで出場したこともあったが、今年は1チームが精いっぱいという。

 70回の記念大会ながら出場は9チーム。これまでで最も少ない44回と47回と同じ数で、当時は精鋭を1チームにまとめ、勝ちにいく作戦があった。その後、14、15チームに戻った時期もあり、総じて駒不足の現在とは様子が違う。

 大きな流れでは人口減、人口流出がある。さらに「漁業不振で青年層が地区外に出てしまった」(19回)、「農繁期と重なり、寂しい大会になった」(26回)と佐賀新聞の記事をひもとけば、農漁業の若者が多く、産業低迷の影響も見えてくる。選手と監督で湊の優勝を5度経験した農業の小川幸司さん(57)は「昔は漁師や百姓の力自慢が出ていた」と振り返る。

■実力差ためらいも

 

かつては先輩からの半ば強制的な勧誘がきっかけだったが、無理が利かなくなっている。最近は高校や大学で競技経験のある選手との実力差もあり、社会人から始める選手がちゅうちょしているとの指摘もある。選手確保は簡単ではない。

 湊も努力はしてきた。松浦相撲の選手らが後進育成のためにと20年以上前から子ども相撲大会を続けている。今年も湊小児童の3割に当たる約30人が参加して今月20日に開かれた。冒頭の激励金はこの大会の運営にも使われている。開会式で住民代表がまわし姿の児童に呼び掛けた。

 「将来は松浦相撲で頑張って、昔の湊を取り戻して」

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