松永佑介さん

「受け継ぐべき熱い言葉と経営スキル」

■仲間と支え合い力育む

 「安心しろ。俺が全力でサポートする」。5年前、当時の商工会青年部長からもらった言葉だ。

 私は経営者になるのが怖かった。造船業を営む家業に入るきっかけは父の入院で、帳簿の書き方、お金の管理、売り上げや借金がどれくらいあるかなど何も知らなかった。部長に経営指導員を紹介してもらい、何とか乗り切ることができた。

 数年後、民宿の後継者である後輩に「経営について教えて」と頼まれ、「安心しろ。俺が全力でサポートする」と、5年前にもらった言葉をそのまま使った。先輩にしてもらったことを、後輩に返したいという思いからだった。

 それから、青年部で事業承継で悩む部員を支える「事業承継サポートプロジェクト」を始めた。後輩を集め、本人がどれだけ経営内容を理解しているか尋ねたところ、誰もが言葉に詰まった。決算書、現金出納帳などを持ち寄り、数字の読み方や仕組みを教え合った。金融業や経営指導員などの助言がとても役に立った。商売のアイデアも出し合い、民宿にフリーWi-Fiを導入するなど活発に意見を交換した。

 その後、定期的に勉強会を続け、活動のヤマ場である事業計画書の策定に着手した。従業員や家族の命を守る経営者は、事業計画書により未来に備える必要がある。私も数年前、経営指導員の助言をもらいながら策定した思い出があり、同じようなところでつまづき、悩んでいる後輩の姿に自分を重ねた。

 経営者は孤独だといわれる。自分の力で会社のかじを取っていくことが求められる。若い時からさまざまな経験を積み、経営者としての力を育むことが求められる。この活動を通じて地域を背負っていくリーダーを作っていきたいと思う。

 このような取り組みを通じて一番成長しているのは若手の会員でなく、私自身だ。経営者にとって大事な経験をたくさんさせてもらっている。

 今なら、あの時ためらいながら後輩に言った言葉を胸を張って言える。「安心しろ。俺が全力でサポートしてやる」と。経営者になるのが怖い人は周りを見てほしい。素晴らしい先生、ともに成長できる仲間がいる。

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