仏教者として国際交流にも取り組んだ小島宗光さんを支えてきた妻由紀子さん。「50年はあっという間だった」と話す=伊万里市山代町楠久の本光寺・壱之寺

東京で結婚式を挙げた2人。「当時は寺を継ぐことになるとは想像していなかった」という

■二人三脚、多方面に活躍

 今年、有田焼と同じ長さの開創400年を迎える伊万里市山代町の曹洞宗「本光寺」。5年前まで18代住職を務めた小島宗光(しゅうこう)さん(75)は「やりたいことを思い通りにできたのは、支えてくれたおかげ」。照れくさそうに妻由紀子さん(73)に感謝する。

 出会いは1965年、東京。駒澤大の研究所で児童教育を専攻する宗光さんが開いた演劇研究サークルに、社会人になってすぐの由紀子さんが加入した。互いの印象を「見た目は田舎のおじさん。話すと優しい人柄がにじみ出ていた」(由紀子さん)、「仏教の話にも興味を示し『聞く耳を持っている』と感心した」(宗光さん)と振り返る。

 意気投合した2人は66年5月に結婚。翌年には宗光さんが中学生から小僧として修行に入った本光寺に戻り、僧侶の妻としての生活が始まる。由紀子さんは「大変というより、未知の世界で、すごく面白かった」。抵抗感はなく、寺に飛び込んだ。

 思い描くと真っすぐに突き進む性分の宗光さん。地域の子どもたちに座禅やおつとめの体験をさせる「月曜朝の子ども会」や、寺での学習塾など、昔から温めていた事業に着手した。「アジア仏教徒協会」では戦没者慰霊やミャンマーの教育、医療、水源確保の支援活動にも身を投じた。

 由紀子さんはそれを陰で支えながら、男の子3人の子育てに奮闘。その上で曹洞宗の資格「寺族」を取得し、寺の行事や法要の世話、檀家信徒との交流など“寺の妻”の役割を果たしてきた。「本当に頭が上がらない」。献身的な働きに、宗光さんは素直な感謝の気持ちを示す。

 2011年に本光寺住職を長男宗彦(そうげん)さんに譲ると、若い頃の理想を基に、檀家制度にとらわれない末寺「壱之寺」を開いた。地元・楠久の地方再生など活動の幅はさらに広がり、「生まれ変わっても、やりたいことばかり」と宗光さん。由紀子さんも「本当に楽しそうだから仕方ない。これからも後をついていきますよ」と優しくほほ笑みを浮かべる。夫婦2人のゆっくりした老後は、まだ少し先になりそうだ。

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