■テロ対策施設・使用済み核燃料 九電、課題抱え慎重作業

 佐賀県の山口祥義知事が3、4号機の再稼働に同意した九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)は、運転に向けた動きを加速させる一方で、1号機の廃炉作業も始まる。九電は今後、原子力政策の大きな二つの取り組みを同時進行させるほか、テロ対策や使用済み核燃料対策もあり、慎重な作業と向き合い続けることになる。

 「原発が止まり、廃止措置が終了するまで何十年にもわたり、われわれはいや応なく、玄海原発とともに生活を続けなければならない」。再稼働に同意を表明した4月24日の会見。山口知事は、今後も長期間、原発との関わりが続く佐賀県の現実を強調した。

 玄海3、4号機は今年1月、新規制基準への適合性審査に合格し、現在は安全対策設備の詳細設計を明記した「工事計画」の認可手続きが進められている。それが終われば、原子力規制委員会による現地での使用前検査を経て再稼働する。

 九電は一連の流れを、新規制基準に基づく全国初の再稼働となった川内1、2号機(鹿児島県)で経験済みだ。川内では4カ月程度かかっている使用前検査の期間も、短縮できるとみている。

 一方、玄海1号機の廃炉は手探りとなる。国内の商業用原発で廃炉を完了した例はなく、国や業界の経験が十分とは言えない。原子炉内の設備など放射能汚染レベルが比較的高い廃棄物に関しては、埋設する場所さえ決まっていない。

 東京電力福島第1原発事故後、電力各社は玄海1号機など老朽化した5原発6基の廃炉を決めた。「3・11」以前から作業を進める2原発3基と合わせ、今後は各地で解体作業などが行われるため、廃炉作業員の争奪戦も予想される。

 規制委が4月19日に認可した玄海1号機の廃止措置計画では、作業は2043年度までの長丁場になる。再稼働する3、4号機の安全に悪影響を与えないよう慎重に作業する必要がある。

 再稼働に関し玄海原発では、テロ攻撃を受けても原子炉冷却を続けるための「特定重大事故等対処施設」(特重施設)を5年以内に整備しなければならない。申請時期について九電は「具体的に申し上げる段階にはない」としている。

 使用済み核燃料対策では、貯蔵プールに並べる燃料の間隔を詰めて収納力を増やす「リラッキング」、さらに特殊な容器に入れて空冷する乾式貯蔵施設の設置も敷地内外で検討する。リラッキングは申請の出し直しが必要で、時期は「再稼働に向けた工事計画、保安規定の審査が落ち着いた段階」と説明する。再稼働すれば5年程度でプールは満杯になるため、それほど遅くはならない見通しだ。

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