和解協議を終え記者団の質問に答える漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長(右)=長崎市の長崎地裁前

 国営諫早湾干拓事業を巡る開門差し止め訴訟の第8回和解協議が6日、長崎地裁(松葉佐隆之裁判長)で開かれた。国は基金案に関する4県の各漁協・漁連への意見聴取結果について、開門の是非に触れないまま報告し「成案を得たい」と説明した。基金案の中身は国や4県などの有明海漁場環境改善連絡協議会で検討しているが、開門の議論は「別の場」を設ける考えを示した。漁業者側は開門を含めた和解勧告を求めたが、裁判所は「考えていない」とした。

 和解協議で国が提案している基金案は、開門しないことが前提になっているが、国や沿岸4県、各漁協・漁連で構成する協議会では、開門に触れずに事業内容などを検討している。最大の焦点となる開門の是非について国は、協議終了後の会見で「協議会の外側で考える必要がある」と説明した。「別の場」の枠組みや議論する時期は「今の段階では申し上げられない」と明示しなかった。

 和解協議は非公開。国は書面で、意見聴取の結果を「漁業者による機動的な取り組みが可能となる仕組みが必要との考えは共通している」と述べた。その上で、協議会が続いていることから「検討を加速したい」として、10月下旬までに成案を得るとするスケジュールなどを示した。

 漁業者側は「長崎県を除き、基金案を受諾しない旨を明確にしている」と指摘した。協議会で今後、議論が続くとしても「開門に代わる基金案」を議論するものではなく、和解協議とは無関係に進められるとして「別案を検討すべき段階に来ている」と強調した。

 これらの意見を踏まえ裁判所は「国が漁業者の意見も聞きながら成案を得ようとしており、見ていく必要がある」として、協議会の議論を見守る考えを示した。漁業者側が求めた開門を含めた「別案」に関しては「新しい勧告案は考えていない」と退けた。

このエントリーをはてなブックマークに追加