■見えぬ先行き、消えぬ不安

 欠陥エアバッグ問題でタカタが経営破綻して1週間がたった。動揺が走った創業地の滋賀県や製造拠点のある佐賀県では、タカタの幹部が関係自治体を奔走し、再建へ向け生産や雇用を維持する考えを強調。下請け企業にも取引継続を訴えている。従業員や取引先から「不安がっても仕方ない」との声も出始めているが、先行きは見えず、懸念はくすぶったままだ。

▽あきらめ顔

 「こちらとしては、とにかく待つしかない」。佐賀市のホテルで3日に開かれたタカタの債権者説明会。出席した取引業者の一人はあきらめ顔でそうつぶやいた。納入代金がどの程度弁済されるかや、再建スケジュールが分からず、落ち着かない思いを抱えている。

 佐賀県には2カ所の製造拠点があり、タカタの再生計画次第で振り回される従業員や下請け企業は多い。タカタは来年3月までにスポンサーとなる中国系米企業に事業を譲渡する方針だが、それにより「取引を失ってしまうのではないか」との懸念も根強い。

 県の担当者は「タカタは雇用や処遇を維持すると言っているが、将来的にどうなるか分からないという不安はあると思う」と指摘。状況を注視して対応していく考えだ。

▽予断許さず

 「滋賀の地は私どものふるさと、発祥の地。誠に申し訳ない」

 滋賀県長浜市で先月30日に開かれた債権者説明会で、タカタの吉田勉取締役は陳謝した。県内4カ所の製造拠点は計約850人の従業員を抱え、1次下請けも約130社と多い。今後の再建のためにも「取引を継続し、部品の供給に協力いただきたい」と呼び掛けたが、出席企業からは「取引を継続しても、本当に支払いがされるのか」など不安の声が相次いだ。

 企業だけでない。滋賀県東近江市の社会福祉法人「八身福祉会」ではシートベルト部品を障害者約35人で作っている。小島滋之施設長は「タカタとの取引が入所者の給料に直結する。事業譲渡で単価や生産量が下がらないか不安だ」と漏らす。

 タカタは破綻直後から幹部らが拠点のある滋賀県の愛荘町、彦根市、長浜市を行脚。生産は縮小せず、雇用も維持する考えを伝えた。しかし、今後も自動車メーカーとの取引を継続できるかどうかにかかっており、大久保貴彦根市長は「予断を許さない」と身構える。

▽再建協力も

 創業地の彦根製造所(彦根市)では、従業員らが変わらない様子で出社を続けている。ただ女性社員の一人は「会社から特に説明はない」と話し、見通しは立たない。

 一方で、再建に協力する動きも出始めている。滋賀県甲良町の部品製造会社は2週間前から中断していたタカタとの取引を近く再開する。同県高島市の別の下請け企業も納入を続ける考えだ。担当者は「うちの会社も取引先の協力で再建した。部品を供給しないことには、タカタの生産自体が始まらない」と語った。【共同】

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