「唐津市学力向上フォーラム」で学校、家庭、地域の役割を語り合うパネリスト=8月、唐津市民会館

 2学期が始まった。学校生活にも慣れ、運動会、文化祭など校内が活気づく時期だ。基礎学力を高める学期でもあり、毎年この時期、小学6年と中学3年を対象にした「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)の結果が公表される。

 今年は8月25日公表の予定だったが、集計ミスで9月にずれ込んだ。学校現場では「夏休み期間を利用して分析したかった」と残念がる声が聞かれる。それだけ教育関係者にとって「通知表」のような重い意味合いがある。

 テストは国語と算数・数学の2教科について「知識」と「活用力」を問い、都道府県ごとに「正答率」を公表する。全国平均を上回ったか下回ったか、一目瞭然だけにどうしても数値に目が向く。

 さらに佐賀県教育委員会は小5、中1、中2を対象に実施する独自テストと合わせ、県内を5地域に分けた正答率を公表するため、なおさらだ。

 6月の唐津市議会一般質問でも東松浦地区(唐津市、玄海町)の平均正答率が全学年で県平均を下回ったことが取り上げられ、学力向上対策の効果が問われた。

 答弁した教育長は「県平均に及んでいないのは事実だが、差は縮まってきている。そこにも目を向けてもらいたい」と苦渋交じりに語り、「テストの結果だけが学力ではない」と疑問も投げかけた。

 確かに「学力」をめぐってはさまざまな定義があり、全国学力テスト導入当初、「競争と序列化をあおる心配がある」などとして参加しなかった自治体もあった。

 課題はあるとして、調査は生活や学習意欲を聞く項目もあり、数値は子どもたちを取り巻く教育環境を示す指標になる。

 例えば唐津市の旧郡部がそうであるように、学習塾に通うにも、都市部と地方では事情が異なる。ならば、上峰町のように無料の学習支援塾を開く手立てもある。

 またテスト結果には家庭でのゲーム時間、さらにはひとり親世帯率や非正規雇用率など家庭の経済事情との相関がみられるという。

 唐津市教委は学力テストの結果を受け、2年前から「学力向上フォーラム」を始めた。夏休みに開いたフォーラムでは、生まれ育った環境で将来が左右される「負の連鎖」が課題に据えられた。

 残念ながら保護者や地域からの参加は少なかったようだが、もはや教育を学校、教師だけに頼る時代ではない。県や市町が教育、家庭環境への公的支援をより充実するとともに、保護者自身、教育の重要さと自助努力の大切さを再確認しなければならない。

 間もなく今年の学力テストの結果が公表される。負の連鎖を断ち切り、教育の機会均等を保障するためにも、数字の向こうにあるものに目を向けたい。(吉木正彦)

このエントリーをはてなブックマークに追加