「ヨーソロー」といえば、船を直進させよ、という航海用語である。「面舵(おもかじ)」は右へ、「取舵(とりかじ)」は左へ転進させる時に使われる。かつての和船の時代、船頭が船首でにらみをきかせ、水夫たちに舵取りの指示を出した◆東京都の船頭が小池百合子知事に代わり1カ月を迎えた。その針路は波高しといったところだろうか。2カ月後に迫っていた築地市場から豊洲への移転延期の断を下したものだから、是非を巡って世評かまびすしい◆延期の理由を土壌汚染への懸念、新市場の建設費に関わる疑問、情報公開の不足を挙げている。都民ファースト(第一)、いわゆる住民目線で見ての判断ということらしい。しかし、市場で働く業者たちは右に左にと行き先が定まらない。この期(ご)に及んでのちゃぶ台返しは「冗談じゃない」との声も漏れ伝わる◆今月末から始まる都議会とのあつれきも予想されるし、豊洲の開場の遅れで、都の財布から少なくない出費もあるやに聞く。このアクション、多少の混乱を生むことも承知の上なのだろう。並々ならぬ覚悟を感じる◆首長は時として摩擦があっても決断しなければならない局面が必ずある。それが誰のためか、どの方向を向いての決定かが試される。その先に民意があるなら支持され、「ヨーソロー」となるだろう。小池丸の行く手はいかに、である。(章)

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