政府は7日、農産物の輸出力強化に向け、日本で新しい品種を開発した地方自治体や農家などに対し、海外での品種登録を支援する方針を決めた。日本で開発された高級ブドウやイチゴ、サクランボが海外で無断栽培される例が相次ぐ。国内の高い技術で生産された農産物のブランド価値が失われるのを防ぐため、保護する必要があると判断した。

 政府は、貿易が一段と自由化する環太平洋連携協定(TPP)の発効をにらみ、農産物や食品の年間輸出額を1兆円に引き上げる戦略を描いている。今秋の臨時国会では、農産品を地域ブランドとして保護する「地理的表示保護制度(GI)」に関する法改正も目指しており、海外での知的財産保護を強化する。

 支援のきっかけは、農林水産省所管の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が開発したブドウ「シャインマスカット」が中国で無断増殖されていることが発覚したことだった。この品種は2006年3月に国内で新品種として登録されたブドウで、果皮が黄緑で甘みが強く人気があり、海外にも輸出されている。

 しかし海外で新品種として登録していないため、無断で苗などを販売している業者に対し、差し止め請求ができない。各国の植物品種保護法に基づき登録できる期間を過ぎていた。

 海外での品種登録は、出願料や審査料、代理人の弁護士費用などで最低でも100万~200万円程度かかるといい、国はこれらの定められた経費を原則、全額補助する。ほかに中国や韓国といった国ごとに海外出願の手引書を作り、出願申請書のひな型を示す。弁護士や弁理士の相談窓口も設ける。政府は16年度第2次補正予算案に関連費用3億円を計上。農水省は17年度予算の概算要求でも1億円を盛り込んだ。商標名「あまおう」で知られるイチゴ「福岡S6号」は福岡県が中国と韓国でも品種登録しており、農水省はこうした先進事例も参考にする。

 一方、政府はGIの強化も目指しており、地域ブランド保護の効力を国内だけでなく海外にも拡大して、取り締まりなどを諸外国と相互にできるようにする。【共同】

=用語解説=農産物の輸出

 日本は少子高齢化で食市場の縮小が見込まれるが、世界の市場規模は2009年から20年にかけ680兆円に倍増すると推計される。海外の日本食レストラン数や訪日外国人数の増加を追い風に、政府は19年に農産物・食品の輸出額を1兆円に拡大することを目指す。輸出力強化に向け、今年5月に国や地域ごとの戦略や品目別の対応策をまとめた。

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