九州電力の瓜生道明社長(左から2人目)に川内原発の即時一時停止を再要請する鹿児島県の三反園訓知事(右)=7日、福岡市中央区

 鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事が九州電力に川内原発(薩摩川内市)の即時一時停止を再び要請した。「脱原発」を掲げて7月の知事選に初当選した以上、九電が一度拒否した程度で安易な妥協はできず、強気の姿勢を見せる必要があった。九電は即時停止を絶対に飲めず、両者の「応酬」は堂々巡りになりつつある。

 「ぜひ社長のご英断をお願いしたい」。三反園知事は7日、九電の瓜生道明社長との面会で、この言葉を2度使った。知事に原発を止める法的権限がないことは十分承知しており、最後は社長の決断に委ねるしかないためだ。前回の要請時は、瓜生社長が鹿児島まで足を運んだ。今回、九電のお膝元の福岡市を訪れて再要請したのも「強い思いの表れ」と記者団に語った。

 知事選では川内原発の再稼働を容認した現職を破り初当選した。勝因の一つが反原発票の取り込みだ。「脱原発」を訴えると同時に、熊本地震で県民の不安が高まっているとし、川内原発を一時停止し再点検することを公約にした。反原発団体の支持も取り付けており、当選後も「簡単には降りられない」(県関係者)状況にある。

▼県民の声

 鹿児島県姶良市の反原発団体メンバー、野呂正和さん(65)は「公約を守り、県民の声を代表して福岡まで行ったことは評価できる。今後も九電としっかり向き合ってほしい」と知事に期待を込めた。

 一方、九電の瓜生社長は「前回の回答では不安の低減につながらなかったのかなと思う」とし、避難道路の整備支援など追加の安全策を検討する考えを示した。10月6日から実施する定期検査の前に、自主的な「特別点検」も始める構えだ。法令に基づく定期検査では運転を止めて調べるが、運転中でも点検可能な項目を順次取り上げ、安全性への積極姿勢をアピールする狙いもある。

▼他電力も注視

 ただ、即時停止は「譲歩できない」(九電関係者)として拒否を貫く方針だ。応じれば知事の要請に屈したように見えかねず、各地で反原発の機運が高まる可能性がある。原発再稼働の準備を進める他の大手電力も九電の対応を注視している。

 三反園知事は面会の去り際、記者団に原発停止による地域経済への影響を問われると「一番重要な住民の安全なくして次はない」と言い切った。九電との平行線は続きそうだ。【共同】

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