<一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ>。1575(天正3)年、徳川家康の家来、本多作左衛門重次が長篠(ながしの)の戦いの陣中から妻にあてた手紙とされている。「火の用心」という言葉の始まりともいわれる◆消防の起こりは江戸時代。この頃、江戸で記録された火事は大火だけでも200件を超え、当時、暮らしの中で一番の脅威だった。必要に迫られてできたのが火消(ひけし)の制度である◆1718(亨保3)年、町奉行大岡忠相(おおおかただすけ)によって、町人自身による消防組織づくりが始まった。47組に編成した「いろは組」だ。命がけで猛火に立ち向かう町火消の姿は「粋」そのもので、江戸っ子の象徴となる。現代の消防団の元祖である◆きのう新潟県糸魚川市で市街地一帯を焼く大規模火災があった。暮れも押し詰まり、寒空に焼け出された人たちはどんなにか心細かろう。今年、佐賀県内で起きた火災は249件(18日現在)、死者は10人。件数は昨年とほぼ同じだが、死者は倍になっている。この後は何事もなく閉じたいものだ◆地域の消防団のみなさんには頭の下がる思いがする。厳寒の中、年末夜警がそろそろ始まる時節。各家庭での火災報知器の設置はお済みだろうか。今一度、心の点検「火の用心」を。本年度の全国統一防火標語は「消しましょう その火その時 その場所で」。(章)

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