復興への決意や佐賀勤務の思い出を語る内堀雅雄・福島県知事=福島県庁

◆足運び、現状感じて

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11日で5年半を迎える。福島県の内堀雅雄知事(52)は旧自治省の職員だった22~23歳の約2年間、佐賀県庁で勤務した経験を持つ。佐賀出身の今村雅弘衆院議員が復興相に就任し、くしくも佐賀と関わりの深い2人のリーダーが福島の復興の先頭に立つ。内堀知事に復興への思いや、佐賀県へのメッセージを聞いた。

 -福島県の現状と、佐賀県に今できることを教えてほしい。

 震災から今日までの間、佐賀県民から温かい支援をいただいたことに改めて深く感謝申し上げる。原発事故の影響で、県産農林水産物の市場価格や観光客数はいまだ震災前の水準まで回復していない。ぜひ実際に福島まで足を運んでもらって安全でおいしい農林水産物、豊かな自然、泉質や湯量が豊富な温泉などの福島の魅力を見て味わい、復興の現状を感じていただければと思う。

 -知事は福島県内の原発全基廃炉を訴えている。未曾有の原子力災害からの5年半の歩みは。

 県民の努力、国内外からの支援により、避難指示の解除が進むなど復興の光は明るさを増しつつある。一方で、今も約9万人の県民が避難を続けているほか、廃炉・汚染水対策、除染など原子力災害特有の課題が山積し、復興を成し遂げるにはさらに長い時間が必要だ。これまで歩んできた5年半の重みをかみしめながら、引き続き県民と共に復興、再生に向けて全力を尽くしていく。

 -佐賀県にも九州電力玄海原発がある。福島県外の原発についてどう考えるか。また、佐賀県民に伝えたいことは。

 原子力政策については福島で起きた原発事故の現状と教訓を踏まえ、国の責任において検討されるべきものと考える。同じ悲劇を二度と繰り返すことのないよう、福島の教訓を生かし、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先に、しっかりと考えていただきたい。

 -今村復興相が就任して1カ月が過ぎた。印象や期待することは。

 就任直後に福島を訪れ、「岩手、宮城も大変だが、福島は特別。未来への希望に向かって前進できるよう全力を注ぐ」との力強い言葉をいただいた。来春は避難指示区域のうち帰還困難区域を除いて避難指示が解除される方針で、大事な局面を迎える。今村復興相には何度も現場に足を運んでもらい、5年半という時間の重みを共有し、県民の思いに寄り添いながら、復興・再生に力を尽くしていただきたい。

 -知事は大学卒業後すぐに佐賀県庁で勤務された。佐賀での思い出は。

 佐賀の豊かな自然の恵みを受けた農産物や代々受け継がれてきた歴史や文化、地域の絆の強さなどを体験した。地域ごとの悩みや課題について、それぞれの立場に立ち、当事者意識を持って取り組むことの大切さを実感した日々だった。

 福島の復興を成し遂げるための大切なキーワードの一つが「現場主義」。佐賀での経験を生かし、私自身が積極的に現場に出て県民の声を聞き、その思いや意見を県政に反映させていくことを実践している。

 -佐賀県内には福島からの31世帯72人(8月10日現在)が避難している。

 福島を遠く離れ、厳しい避難生活を送っておられることに心からお見舞い申し上げます。将来に希望を持ち、一日も早く穏やかな生活を取り戻せるよう、一人一人の思い、事情を大切にしながら戸別訪問などを通じ、皆さんに寄り添った、きめ細かな対応を続けていく。生活インフラの復旧をはじめ、除染や復興公営住宅の早期整備、医療・福祉といった公的サービスや商業機能の確保など、復興に向けた対策を全力で進めていく。

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