子どもの頃から手先が器用で、物作りが好きだった。佐賀工高に進学し、発電所の建設・整備を行う会社に就職する。鉄を扱っていたが、次第に鉄粉の影響で食べ物の味がおかしく感じるようになった。人体への影響を考え、木工へ路線を変えた。

 「木で何が作れるだろう」-浮かんだのは“ギター”と“仏壇”だった。高校生の頃にギターを弾いた経験があり、次は作る側に回ろうとギターを選択した。東京にある専門学校に進み、ギター製作家への第1歩を踏み出す。卒業後、久留米市のギター製造会社に就職した。

 工場で働く内に、良い木材を見分ける感覚が養われた。木目や色のきれいさで判断するのではなく、見た目は悪くても、あくまで良い音を出す木材を選ぶことが質を高める。しかし工場は分業制。せっかく良い素材を使って一部を組み立てても、他の工程でランクの低い木材と一緒にされることもあった。

 「最初から最後まで自分で作りたい」-そんな気持ちが大きくなり、仕事とは別に年に2~3本、自宅の工房でギターを作るようになった。日本の工場で作られるギターを「90点ぐらいの高品質」と評価しつつ、平均点のものが量産されると指摘する。「工場で満点を取るようなギターは生まれにくい」と、自分の技だけで満点やその上をいくギターを目指した。

 独立から9年。ギターは3~5本を同時に製作し、完成までに3~4カ月を費やすが、合瀬さんは材料の発注から納品まで、すべての工程を一人でこなす。

1.Visitor.007 合瀬潤一郎(ギタークラフトマン)

3.世界に一つだけのギター

4.“ベフニック”と“別府二区”

5.“良く鳴る”ギターに

6.信用という財産

7.クリエイターを目指す皆さんへ

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