修行僧が木に登って柿を盗む「柿山伏」を演じる高志狂言保存会の狂言師=神埼市千代田文化会館

 明治以降、宗家が断絶した「鷺(さぎ)流狂言」を伝承する神埼市千代田町の高志(たかし)地区など全国の3地域の団体が一堂に会する舞台が11日、同市千代田文化会館で開かれた。神埼市の市政施行10周年記念事業の一環で共演が実現した。狂言師が風刺の効いた演目を独特の語り口で披露し、訪れた人たちは伝統芸能の魅力に触れた。

 高志狂言保存会は、柿の実を盗み食いした修行僧が空威張りする「柿山伏(かきやまぶし)」を演じた。修行僧が木から飛び落ちたり体を投げ飛ばされたりする場面では会場から笑いが起きた。無知な田舎大名と家来が滑稽なやり取りをする「萩大名(はぎだいみょう)」も披露した。

 新潟県佐渡市の団体は、主人が大事にする砂糖を使用人が食べた後に言い逃れをする「附子(ぶす)」を紹介した。山口県山口市の団体は演目の「千鳥(ちどり)」で、酒だるを黙って持ち帰ろうとする客と酒屋のおかしな掛け合いを演じた。

 鷺流狂言は江戸時代、徳川幕府に保護されたが、幕府消滅とともに衰退し、明治時代初めには家元が途絶えた。現在は3団体が引き継ぐ。高志狂言保存会の井手俊幸会長(68)は「3団体が集まった貴重な機会で、舞台でそれぞれの良さも出せた。今後も交流を深め、後継者育成などで一緒に努力していきたい」と話した。

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