嘉瀬川、東平川、牟田川の交差する塩土井にある塩土井排水機場=佐賀市大和町

◆嘉瀬川からの海水防ぐ

 「塩土井」は「潮土居」と同じ意味で、第一線の潮受け堤防のことをいう。

 佐賀市の国道34号・森田交差点から小城方面に向かい、池森橋を渡り切ったところから嘉瀬川堤防沿いに車を走らせると、東平川などが入り組んだ堤防の三角形の突端に、1984(昭和59)年にできた塩土井排水機場(同市大和町)がある。

 排水機場の周辺は、圃場(ほじょう)整備によって民家もなく、近くにある幸龍寺を訪ねた。「塩土井という地名からして、昔は潮が入ってきていたのでしょうね。水害が多い所でしたが、排水機場が完成し、今は道路の冠水はなくなりました」と副住職さんが教えてくれた。

 戦国時代には、犬井道から芦刈の海岸線を潮土居と言っていたが、ここは地理的に違うようだ。江戸時代初めの古文書「坊所鍋島家文書」に「塩土井」の名前が出るが、固有名詞ではなく、単に海の水を防ぐための堤防という意味で使われている。

 時代をさかのぼり、縄文時代(約5000年前)の海岸線は、尼寺付近や三日月まで入り組んでいたようである。やはり潮が入った名残で排水機場のある場所に塩土井の名前が残っているのだろう。

 ここに立つと、嘉瀬川が蛇行し、海岸線も入り組んでいた遠い昔が見えてきそうな気がした。(地域リポーター・上原和恵=佐賀市)

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