民進党の新しい代表に蓮舫氏(48)が選ばれた。前身の民主党結党以来、女性党首は初めてだ。有権者の厳しい審判で野党に転落し、3年9カ月がたつが、その人気の高さから“選挙の顔”として党勢回復の期待を背負う。

 蓮舫氏は前原誠司元外相ら3人で争った代表選で、全体の約6割のポイントを獲得する圧勝だった。「国民に選んでもらえる政党に立て直したい。その先頭に立つ」と語った。国民の信頼回復がなければ、政権復帰など遠い夢と自覚しての言葉だろう。

 世界で女性の政治指導者が誕生している。蓮舫氏が野党第1党の党首に就任し、日本でも弾みがつくだろう。党側も自民党よりも先に女性リーダーが誕生したことが党勢回復につながる期待があったと思う。ただ、代表選で“二重国籍”問題が浮上し、政策アピールの場も台無しとなった。

 蓮舫氏は父親が台湾籍で、日本で生まれ育った。17歳の時に自らの意思で日本国籍を選んだという。手続きの複雑さは差し引いても、国会議員を目指した時点で国籍は確認しておくべきだった。ましてや民主党政権時代は行政刷新担当相として入閣している。問題の表面化後に説明が二転三転したことも加え、危機管理に問題ありといわざるを得ない。

 野党党首の使命が政府追及の先頭に立つということを考えれば、国民の疑念を招いたことは今後、少なからず影響が出るだろう。

 とはいえ、与党へのチェックが遠慮気味になられても困る。自民党は安倍晋三首相の「1強」状態が続き、党内が二分するような激しい政策論争は見られない。野党第1党の民進党が国会論戦を活性化させなければならない。

 民進党は7月の参院選で「安倍首相が主導する改憲に反対する」と訴えた。首相は今秋にも改憲に向けた憲法審査会を始める考えだ。有権者との約束を守るためにも、日本が戦後築きあげた憲法の理念がゆがむことのないように審議のチェック役に徹してほしい。

 経済政策もそうだ。民主党政権時代には、公共事業重視の景気対策を見直す「コンクリートから人へ」の政策理念を掲げたが、評判が悪かった。しかし、積極財政のアベノミクスが経済格差解消で効果が見えにくいことを考えれば、間違っていたとも言えない。少子高齢化を加速させないためにも若者や子育て世代への投資は重要だし、議論をけん引してほしい。

 安倍政権は失速気味のアベノミクスのてこ入れで税収増加分を分配する「1億総活躍プラン」を掲げる。蓮舫氏は「批判ではなく、提案力で政権と戦う」と述べている。経済格差是正のためには与党との協力も視野に入れながら、国民を豊かにする政策を前に進めてほしい。

 民進党は各種世論調査でも支持率は10%未満が多く、二大政党の一翼を担う存在とは言いがたい。自公政権との差を埋めるための選挙戦術「野党協力」も、「安全保障政策が異なる共産党と組むのは野合」との批判があり、新執行部がまず直面する課題と言える。

 民主党政権時代に失った信頼を取り戻すのは容易ではないだろうが、若い感性を持った新代表の蓮舫氏を中心に、政策に強い党を目指してほしい。その先にしか政権交代の道は開けない。(日高勉)

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