ペットボトルの分別で、ふたを外す佐賀大学生の増田ひかるさん=佐賀市の佐賀大学本庄キャンパス

「思いがけず面白かった」と、ボランティア活動の印象を話した永江隆太朗さん=西九州大学

 佐賀大学文化教育学部2年の増田ひかるさん(19)は、谷本有紀奈さん(20)と同時期にボランティアサークルに入部した。

 中学生のころから美術が好きで、工芸作家を目指している。高校も芸術コースに通い、「周りに流されず、世間を気にしすぎず、個性を大事に」と教えられた。同じような考え方の学生は大学にも多く「個性的で楽しい」が、「閉じられた狭い世界という感覚」をずっと持っていた。

 サークルに入った大きな理由は「美術系の『内輪の世界』だけじゃなく、もっといろんな『世間』を知りたいと思ったから」。多くの人と交流する手だての一つとしてボランティア活動を選んだ。だから、「善い行いを人のためにやっていると思われると、ちょっと違う気がする」。

 ボランティアを「偽善的で『意識の高い人たち』がやっている」と冷めた目で見ていたころがある。活動に打ち込む今でも何となく、学部の友人とはボランティアの話はしない。「私がやりたくてやってるだけのことを、偽善的に見られるのは嫌だから」。「いい子」だとは思われたくない。

 「自発的な活動」という印象があるボランティアだが、教育現場には義務的な側面が強いケースもある。

 西九州大学リハビリテーション学部1年の永江隆太朗さん(20)が取り組んだきっかけは必修授業だった。大学では「社会人としての基礎力」を身につける授業として、地域社会でのボランティア活動が義務づけられている。取り組まなければ、卒業できない。

 「正直、何をすればいいのか分からなかったし、単位をもらうために最低限のことをやればいいかなと思った」と永江さん。友人からは「面倒くさいね」という声も漏れた。

 「対価」を目的にしないはずの奉仕活動が、単位取得や将来の進路内定という「対価」を得るための手段になる-。自発的に根差すボランティアとはかけ離れているようにも映るが、永江さんは「挑戦してみると、思いがけず面白かった」。地域イベントに参加し、運営の手伝いや来場した子どもたちの相手をした。「子どもたちとふれあうのは楽しいし、地域の人との交流はコミュニケーションの実践的なトレーニングにもなった」。単位認定に関わらず、時間を見つけて再びボランティアに参加したい気持ちになった。

 ボランティアで培われる自己犠牲もいとわないような実直な精神は、大人たちのさまざまな思惑の中で利用されかねない危うさもはらんでいるようだ。

 西九州大の学生ボランティアの派遣担当者はこぼす。「以前はアンケート調査とかチラシ配りとか、アルバイト代わりに使おうとする企業もあった」。今でも「無料で使える」と見込んで申し込んでくるケースがあるといい、「教育的効果が見込めないところはお断りしている」。

 社会や政治の動向にまでなかなか関心を向けないといわれる若い世代。関心を完全に閉ざしているわけではなく、きっかけや条件さえそろえば、他人や社会のために具体的な行動を起こす。実際は、そんなフットワークの軽さを持ち合わせているのかもしれない。

 「無償の労働力」としか捉えていない大人もいる中で、若者が実社会と関わる窓口であり続けるボランティア。発展途上国の子どもたちに接種するワクチンの資金に充てるため、ペットボトルのふたを集めている佐賀大の谷本さんにとっては、社会が支え合って成り立っているという実感を得る場でもある。「巡り巡って成長させてもらっている。ボランティアって、私自身のためでもあるのかな」

このエントリーをはてなブックマークに追加