台風が過ぎるごとに秋が深まる。あすはお彼岸の中日。先週末に小城市の江里山の棚田に出かけると、彼岸花の紅の帯が鮮やかだった◆花の別名は曼珠沙華(まんじゅしゃげ)というが、これはサンスクリット語で「マンジュシャカ」と発音されるものに、それぞれの漢字を当てたものという。意味は「天上に咲く花」だそうだ(山口謠司著『にほんご歳時記』)。季節が巡れば一斉に花をつけ、あっという間に散る。人も時が来て生を受け、萌(も)え立ち、そしてしぼませる。誰しも、どう閉じるかを考える時が来る。墓じまいもそうである◆佐賀市のある寺は管理する墓の1割弱が、参る人のいない「無縁墓」という。増えるのを危惧して近年は跡継ぎのいないところには墓を撤去し、納骨堂に入ることを提案している。ただ、ここ1、2年、子どもがいても「迷惑をかけたくない」と自ら墓じまいを申し出るところが出てきた◆家とか墓とか、相続させるのは子の足かせになると親が思うのだろうか。ただ、途中で子どもの方が「引き継ぐ気でいるから」と止めたケースがあり、必ず親子での話し合いを勧めているという◆遠慮があっても、親があまり先回りするのもどうだろうか。それを引き受けるのも子の務めという面もある。何が正解かはないかもしれないが、この彼岸の折に話してみるのもいいと思う。(章)

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