国土交通省は20日、今年7月1日時点の都道府県地価(基準地価)に関し、商業地の全国平均が横ばいに転じ、9年ぶりに下落が止まったと発表した。前年に比べ0・005%上昇とわずかながらプラス。三大都市圏に加え、地方の中核的な4市(札幌、仙台、広島、福岡)も平均でプラス6・7%と上昇幅が拡大し、東京などから上昇が波及した。【共同】

 4市以外の地方圏は下落幅が縮小したものの、4市の上昇ペースに比べると縮小は緩やかで、二極化が一段と進んだ。

 国交省は要因として、全国の主要都市で外国人旅行者の急増に伴いホテルや店舗の建設需要が高まっていることや、日銀の金融緩和などによる金利低下で不動産投資が活発化していることを挙げた。訪日客が多い大阪市は8・0%の大幅上昇となった。

 住宅地は全国平均でマイナス0・8%。25年連続の下落だが、下げ幅はわずかに縮小した。住宅ローン減税や金利低下の影響で需要が堅調に推移しているため。

 三大都市圏全体の商業地は2・9%のプラス。住宅地は前年と同じ0・4%の上昇だった。

 地方中核4市の商業地の上昇率は、仙台が7・6%、札幌、福岡が7・3%、広島が3・9%。住宅地は2・5%のプラスで、商業地とともに4年連続の上昇となった。

 4市以外の地方圏は、商業地1・5%、住宅地1・4%といずれもマイナス。県庁所在地など都市部で上昇した地点もあり、下げ幅は前年より小さくなった。

 都道府県別の上昇率トップは、商業地が大阪の4・7%。住宅地は沖縄の1・9%で、富裕層を含む移住者増加が要因。

 下落率が最も高かった秋田は、商業地が3・8%、住宅地が3・4%だった。熊本は4月の熊本地震の影響で商業地、住宅地ともに下げ幅が拡大した。被害が大きかった益城町の住宅地の調査地点はマイナス9・8%で、下落率は全国トップとなった。

 地価の最高地点は、東京都中央区銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」で11年連続。1平方メートル当たり3300万円で、リーマン・ショック前の2008年7月時点(3千万円)を上回った。

■福岡商業地24年ぶり上昇 地震の熊本は下落幅拡大

 九州・沖縄8県の基準地価(7月1日現在)は福岡県の商業地が24年ぶりに上昇に転じ、住宅地も19年ぶりに横ばいとなった。沖縄県は住宅地、商業地とも上昇幅が大きくなった。佐賀、長崎、大分、宮崎、鹿児島5県の住宅地、商業地は引き続き下がったが、下落幅はいずれも縮小。熊本県は熊本地震の影響で前年より下落幅が拡大した。

 各県とも主要駅や大型商業施設に近い中心部は上昇、郊外や離島は需要が冷え込む構図だが「住宅ローン減税や低金利政策で下落傾向に歯止めがかかっている」(佐賀県)との声もあった。

 福岡市は人口増加で全区の住宅地が上昇、開発が進むJR博多駅(福岡市)周辺では22・6%の上昇を記録した商業地があった。佐賀市は商業施設に近い住宅地、商業地が上昇した。

 長崎市は、九州新幹線長崎ルートの2022年度暫定開業に向けてまちづくりが進むJR長崎駅周辺の商業地が上昇。大分市はJR大分駅ビルの開業で、市平均の商業地が25年ぶりに上がった。

 宮崎県は巨大地震の津波対策で延岡市にある高台の住宅地が上昇。鹿児島県は市立病院に近く、便利な鹿児島市の住宅地の一角が上がった。

 沖縄県は人口、観光客の増加で那覇市の上昇が顕著。店舗需要が堅調な県庁近くの商業地は12・2%上がった。

 熊本県は熊本市で住宅地、商業地とも上昇したが、地震被害の大きい地域の下落が響き、益城町の住宅地はマイナス9・8%と全国で最大の下落率だった。

 8県の最高地点は福岡市中央区天神2丁目のビル「プラッツ天神」。18・3%上がり1平方メートル当たり460万円だった。

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